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積み重ねブロック構築論:赤黒

Zvi Mowshowitz

2 日目(訳注: PT 東京。)に残ったデッキのうち、赤緑に次いで多かったのは、 赤黒でした。そのうち最も上位まで行ったのは David Williams がプレイしていた バージョンで、このデッキタイプでは唯一、ベスト 8 に入賞しています。

彼のデッキリストは以下のとおりでした。

David Williams

Main Deck
Sideboard
3 Darigaaz's Caldera
6 Mountain
3 Shivan Oasis
11 Swamp
1 Urborg Volcano	
	
4 Blazing Specter
3 Crypt Angel
3 Flametongue Kavu
4 Nightscape Familiar
4 Ravenous Rats
3 Skizzik
4 Thunderscape Battlemage
	
3 Bog Down
3 Ghitu Fire
3 Terminate
2 Void
	
3 Addle
2 Agonizing Demise
4 Slay
1 Tranquility
2 Void
3 Yawgmoth's Agenda

	

このデッキリストをはじめて見た時、私は直感的に、このデッキ構築が「正解」であるはずがないと感じました。というのも、 Meddling MageLobotomy 対策というわけでもないのに、あのように多種多様なカードを 3 枚づつ入れるというスタイルは、一流のデッキとしては、かなり異色であるからです。さらに、他のほとんどのデッキとは異なり Urza's Rage が入っていませんでしたし、また Crypt Angel を使用していた数少ないデッキのうちの一つだったということもありますが、何よりも特筆すべきは、 Pyre Zombie が入っておらず、そのかわりにサイドに Yawgmoth's Agenda を入れるという選択をしているという点に集約されます。 Bob Maher を含め、このデッキを採用したその他のプレイヤーは、誰一人としていい成績を残していません。

はたして、このようなデッキに行き着いたのは、改良の成果なのでしょうか、それとも単なる一時の気の迷いなのでしょうか。その他のいい成績を残している黒赤デッキと比較してみると、このデッキの特異性が一段と際立ってきます。
他のデッキは、皆おしなべて Pyre Zombie と Urza's Rage を使っており、以下に紹介する 3 人のうち 2 人のデッキは、事実上これらを 4 枚ずつ使用していますが、一方で Tomohide Sasakawa のデッキリストは、これもまた多様なカードが 3 枚ずつ入ったものになっています。 Williams 以外に Bog Down や Thunderscape Battlemage を使ったプレイヤーはいませんでしたので、彼が使用しなかったカードは、このスロットに収まったということになるのでしょう。この種のデッキタイプにおいて、 Bog Down はありふれた選択ではありましたが、 Williams が使用していたバージョンを除けば、上位のデッキの中では決して一般的ではありませんでしたし、つまり、他のカードに押し出される形になってしまっていたわけです。
彼のデッキのうち緑がらみの部分については、彼自身も選択ミスだったと認めています。すなわち、これは基本的にドメインデッキ(訳注: 5 色コントロールデッキ)対策ではあったものの、実際には大して活躍しませんでしたし、また、対策の有無にかかわらず相性が極めて悪いことには変わりありません。ただ、このことだけで Williams のデッキがだめだと否定するには不十分で、むしろその逆に、この必要以上にマナベースが辛いデッキでベスト 8 入りが達成されていることは、評価に値します。

要は「構築理論の相違」ということにもなるのでしょうが、この種のデッキは、ディスカードに専念すべきなのか、あるいは Ravenous RatsBlazing Specter を使うぐらいにとどめておいて、あとはクリーチャーコントロールと攻撃に専念すべきなのか、意見が分かれるところではあります。いずれにせよ、このデッキは、一面の赤緑ステロイドの大群をかきわけて勝ち上がらなければならないわけで、赤緑対策としては、手札の枚数よりも素早いクリーチャー除去の方がずっと重要になるものと考えられます。黒赤のプレイヤーが、ゲームの流れを遅くすることに専念すればするほど、後半からの Pyre Zombie に依存して勝利を収める可能性が上がるでしょうから、この対戦は黒赤側に有利に傾きます。 このことは、ディスカード戦略が、赤緑対策をも含めた全体において劣っているという評価に直結するわけではありませんが、赤緑プレイヤーの手札を処理したあとでも、既に場に出てしまっている脅威となるカードや、トップデッキ(訳注:「今引き」)に対処しなければならないことを考慮すると、やはり茨の道だとは言えるでしょう。事実、黒赤プレイヤーとしては、赤緑プレイヤーがトップデッキに依存せざるを得ないように戦略的に誘導することになるでしょうし、また双方がクリーチャーと除去を互いに交換する展開となるため、トップデッキが勝負の行方を左右するということも稀ならず起こりえます。互いの条件が同じなら、引きあいになった時点で、もはや黒赤側の優位ではありますが、赤緑プレイヤーの手札が常に空である状態では、やはりディスカード戦略の不利は否めません。

さてそういうわけで、 9-4-1 以上の成績を収めたその他のデッキリストについても、詳しく見ていくことにしましょう。

Tomohide Sasakawa

Main Deck
Sideboard
1 Keldon Necropolis
9 Mountain
10 Swamp
4 Urborg Volcano
	
4 Blazing Specter
3 Flametongue Kavu
4 Nightscape Familiar
3 Pyre Zombie
4 Ravenous Rats
4 Shivan Zombie
3 Skizzik
	
3 Ghitu Fire
3 Terminate
3 Urza's Rage
2 Void
	
4 Addle
1 Obliterate
2 Plague Spitter
2 Scorching Lava
1 Terminate
2 Tsabo's Assassin
2 Void
1 Yawgmoth's Agenda
	

Josh Fleisch

Main Deck
Sideboard
1 Keldon Necropolis
10 Mountain
10 Swamp
4 Urborg Volcano
	
4 Blazing Specter
4 Flametongue Kavu
4 Nightscape Familiar
3 Pyre Zombie
4 Shivan Zombie
4 Skizzik
	
4 Ghitu Fire
4 Urza's Rage
4 Void
	
1 Keldon Necropolis
4 Plague Spitter
1 Pyre Zombie
4 Scorching Lava
4 Terminate
1 Yawgmoth's Agenda
	

Trevor Blackwell

Main Deck
Sideboard
11 Mountain
10 Swamp
4 Urborg Volcano
	
4 Blazing Specter
4 Flametongue Kavu
4 Nightscape Familiar
3 Pyre Zombie
1 Shivan Zombie
4 Skizzik
	
3 Addle
4 Ghitu Fire
4 Urza's Rage
4 Void
	
1 Addle
2 Plague Spitter
1 Pyre Zombie
1 Reckless Assault
3 Shivan Zombie
4 Slay
2 Terminate
1 Yawgmoth's Agenda
	
Williams のデッキ構築とは異なり、これらのデッキは全て素直な構築、つまり「散らかっていない」仕上がりになっています。サイドボードは、特定の対戦に特化したカードというよりも、むしろ、これらのデッキのスピードを上げるためのカードに費やされているようですが、この場合 Slay も非常に優れたサイドボードカードになります。 Shivan ZombieScorching LavaTerminate もそうですが)のようなカードが 2 マナでの 1 対 1 交換を目指しているのに対して、 Slay は 3 マナでのカードアドバンテージの確保を目的としているからです。その他に Plague Spitter なども相手の 2 / 1 を除去するために採用されていますが、サイドボード後はデッキのスピードも上がってダメージ耐性も付いているので、使い勝手も悪くありません。こういったカードにサイドボードのスペースを割くというのは、決して効率のいい選択ではありませんが、このデッキにはその余地があります。これは、このデッキが特定の対戦用のサイドボードを必要としていないということを意味しているわけではなく、そういった用途の適当なカードが欠如しているため、仕方がないことなのです。そうはいうものの、リストにSlay が入っていないデッキというのも、私には非常に理解に苦しむところではあります。
ともあれ、ディスカードバージョンとの対戦は、非ディスカードバージョンとの対戦とは全くの別ものなのです。

以上のところをまとめると、すなわち、黒赤デッキを構築する方法はいくつか存在し、赤緑よりも柔軟性があるのですが、概してこのフォーマットは、焦点を絞り込んだプレイヤーに有利になるようにできているということに留意しておく必要があります。メタゲームが違えば、ディスカード戦略にもまた違った良さが出てくるのでしょうが、現在の枠組み(訳注: PT 東京後で GP モスクワ以前。)の中では、Williams のバージョンの赤黒デッキでベスト 8 を達成できたのは、かなりの僥倖だと言えるでしょう。よく考えもせずに、彼のバージョンをベースにチューニングを開始する人もいるでしょうが、上位に入ってこなかったバージョンに目を向けるのも悪くありません。いずれにせよ、この種のデッキをプレイしようとする場合には、かなりの数の選択肢が存在しますので、十分なプレイテストが必要となることでしょう。
繰り返しになるかもしれませんが、私なら、自分で赤黒デッキを使うよりはアンチ赤黒に的を絞ります。

さて、黒赤デッキの有する序盤最大の脅威といえば、 Nightscape Familiar から繰り出される 3 ターン目の Blazing Specter で決まりです。 Blazing Specter の攻撃を通してしまうと、馬鹿にならないカードアドバンテージを与えてしまいますし、黒赤にはそのための除去も大量に装備されていますので、対戦する側としては、なんとか対処する必要があります。もしこれに対応できたとしても、それに続いて長期的なプレッシャーをかけられてくるわけで、すなわち、ディスカード戦略によって数ターン後には使えるカードがないという状況に陥る一方、黒赤プレイヤーの側はどんどんアドバンテージを積み重ねて、結局は長期戦用の Pyre Zombie が回りはじめてしまいます。ゲームを長期戦に引きずり込むことができれば、この Zombie が勝利を呼び込みますし、さらに、赤緑デッキにも使用されている Skizzik に関しても、これまた強いクリーチャーだとしか言いようがありません。

その他の注意点としては、果たして自分がどのバージョンの黒赤デッキと対戦することになるのか、事前にはわからないということが挙げられるでしょう。ディスカードバージョンのデッキとの対戦は、非ディスカードバージョンとの対戦とは全く異なります。対戦相手がもし Thunderscape Battlemage や Bog Down をデッキに入れていたとしたら、いかにして重要なカードを守っていくか、常に困難な決断を強いられることになります。カードを守るためには、時には土地やスペルまでもディスカード用に手札に抱えておく必要があるでしょうし、逆に、完全に手札を放棄してしまわなければならない場合も出てくるでしょう。ある種のデッキでは、他のデッキとの比較において、手札がなくてもわりとやっていける場合もあるので、まず黒赤デッキを序盤から高速で蹂躙する方向性でやってみて、もしだめならトップデッキに依存する方向性に切り替えるということもできます。また、手札が重要なデッキなら、手札を保護し、長期的なカードアドバンテージの取り合いを目指しに行くことになります。これは、黒赤デッキの土俵ではありますが、より強力な武器を搭載したデッキもあるということを忘れてはいけません。

ここに来てはじめて、黒赤デッキのディスカード戦略が ProbeFact or Fiction のようなカードと相対することになるわけですが、対戦相手がディスカードをカウンターして、さらに Fact or Fiction で追加のカードをドローできた場合には、もはや黒赤のプレイヤーの側に、長期的なカードアドバンテージを期待することはできなくなります。いったんゲームの流れがこうなってしまえば、あとは Pyre Zombie をめぐる駆け引きになるわけですが、コントロール側のプレイヤーにとっては、しばしば対処が困難です。トーナメント(訳注: PT 東京。)前まではこの問題点について、 Rewards of Diversity を採用するなどという無茶な案も含め、実に色々な対策案が飛び交っていましたが、最終的には、いったんゲームの流れをコントロールしたら速やかに勝利できるように、より強力なフィニッシャーをサイドインするのが最良の選択だというところに落ち着いています。特定のサイドカードなしに Pyre Zombie が止まることはまずありませんが、これは同時に、非常に遅いカードでもあるので、たとえ完全に Pyre Zombie が回り始めていたとしても、毎ターンのように対戦相手の場に「爆弾」が出てきているような状況では、いかんともしようがありません。 墓地に相当量のカードが落ちていればの話ですが、 Agenda などでも Zombie に勝つには十分です。

黒赤デッキに勝つために、どうしても対処しなければならない脅威を挙げると、以下のとおりまとめることができます。それはすなわち、序盤の Blazing Specter 、それから(もし入っていれば)ディスカードによる手札へのプレッシャー、Skizzik 、終盤の Pyre Zombie といったところでしょうか。繰り返しになりますが、これらの脅威を止めるには、赤緑デッキのようにスピードで無効化してしまうか、あるいは、真っ向から受け止めるしかありません。 Domain デッキは、そのうちの後者を目指しているわけですが、 Collective Restraint やその他の強力カードを使って赤緑デッキを完封するのと同じ方法で、黒赤デッキにも対抗できるのではないかと期待できます。特にこのデッキの場合、黒赤デッキにとっては Void でしか対処のしようがない、全くの悪夢とも言うべき Questing Phelddagrif が控えているわけで、うまく封じ込むこともできるでしょう。黒赤デッキにエンチャントメント除去を入れるのがかなり難しいというのも、重要な要素です。
一方、ドロマーコントロールデッキ(訳注: “Go-Mar” と呼ばれることもある。)は、序盤の攻撃をカウンターやその他の対策カードなどでしのいで、その後 Pyre Zombie がどうしようもなくなる前に Dromar で勝とうという、すなわち序盤は防御で勝り、後半は速度で対抗する戦略のデッキです。黒赤青の場合も、これと同様の戦略を取りますが、フィニッシャーが違います。

最後に白青(ザ・ソリューション)ですが、このデッキは、プロテクション赤を使って赤黒デッキの動きを止めます。大抵のバージョンの赤黒デッキでは、 Void 以外の黒い除去を使ったり、 1 / 1 よりも大きい黒いクリーチャーを使ったりする特段の理由がありません。実際のところ、 Williams が、大会直前のプレイテストの結果を踏まえて Crimson Acolyte 対策として Agonizing Demise をサイドボードしていたのと、何人かのプレイヤーが Draco を殺すために最後の最後に取り入れていたぐらいで、やはり黒い除去の採用は極めて例外的であることは確かです。

黒赤デッキは、赤緑ほどには成功を収めることができませんでしたが、デッキ構築を間違える可能性がある部分も多かったわけですし、それゆえに、改良できる部分もかなり残されていると言えるでしょう。デッキには調整の余地がありますし、赤緑デッキに勝つということがこのデッキの目的であるとすれば、それを達成できるチューニングも可能だと考えられます。ただ、そうすることによって、その他の戦略に対しては融通が利きにくくなるでしょうから、プラスマイナスを天秤にかけることになります。サイドボードにはかなり空きがあるようですし、それを使って、このデッキのその他の弱点を調整することも可能だと思います。

もう一つ、他の変異バージョンについても触れておきましょう。以下に挙げるのは Craig Jones とその他の英国人プレイヤーたちがプレイしていた赤黒と赤黒青の混成バージョンです。 Craig は、このデッキを使って、引きに見放される前の時点までではありますが、 9-1 というすばらしい成績を残しています。赤黒青デッキは、純粋なコントロールデッキになるのが普通ですが、このデッキは赤黒と赤黒青の両者の方向性の中間とも言うべき不思議なスタイルを有しています。

Craig Jones

Main Deck
Sideboard
2 Crosis's Catacombs
5 Island
5 Mountain
4 Salt Marsh
4 Swamp
2 Terminal Moraine
4 Urborg Volcano
	
4 Blazing Specter
1 Crosis, the Purger
1 Crypt Angel
2 Flametongue Kavu
4 Nightscape Familiar
3 Pyre Zombie
	
4 Addle
2 Ghitu Fire
1 Lobotomy
4 Probe
4 Recoil
3 Void
1 Yawgmoth's Agenda
	
3 Exclude
2 Flametongue Kavu
3 Gainsay
1 Lobotomy
4 Terminate
1 Void
1 Yawgmoth's Agenda
	
このデッキは、 Blazing Specter を中心にして構築されているようですが、目的とするところは、赤黒デッキの最も危険な武器である 3 ターン目の Blazing Specter(その一方で、脆弱性をあわせ持つことから、通常、青が入ったバージョンでは避けられることが多いようです。)に、 Recoil 等、青の持つ強さを組み合わせることにあります。そういう意味では、心意気は黒赤デッキでありながら、前述のようなデッキ特有の問題点の多くに、しかるべき解答が用意できています。逆にそれと引き換えに、もとのデッキの持つ安定性、使い勝手、及び攻撃性は損なわれており、そういう意味では、クリーチャーデッキの脆さという欠点と、カウンターがないにもかかわらずコントロールデッキのように攻撃性が欠如してしまっているという欠点を組み合わせたかのような部分もあわせ持ちます。ただ、対戦相手の手札を激しく攻めることによって、鬼のように Recoil が効いてくるのは間違いありませんし、偶然ではありますが Crimson Acolyte にも対応することができるため、「ザ・ソリューション」にとっては、通常の赤黒青や赤黒デッキに比べても、厳しい対戦を強いられることになります。さらに言えば、 Crusading Knight のパワーを押さえ込むことにも成功していますが、総合的に見れば、プラスに相互作用する強いカードをどんどん使っていくという理想像には一歩及んでいないといったところでしょうか。この考え方は「真の 3 色コントロールデッキ」構想にもつながるところがあり、これについてはまた次回。

Translation by Moro



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