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Tinker デッキへの探究

Mike Flores

 1998 年のことだが、Eric Taylor はこんなことを書いている。「新しいデッキのアイディアなどというものは滅多に無い」と。彼曰く、「競技マジックというものが誕生して以来、真に新しいデッキというものはほんの僅かしかない。その最初のものは、Adrian Sullivan の Baron Harkkonnen デッキだが、後年生み出された、多色のコントロールデッキ、たとえば Donais の青 5 色デッキや、《Gaea's Blessing/ガイアの祝福》、ライブラリ操作、《Oath of Druids/ドルイドの誓い》による各種の青緑デッキは、このデッキに触発されて登場したのだ。」

 僕の意見では、edt(Taylor)の言うことには半分賛成、半分反対だ。厳密に言えば、Baron デッキ自身も、Big Blue の子孫に当たる。このコントロールデッキに緑(特に《Sylvan Library/森の知恵》)を加えたのは Adrian の功績だが、しかし、やはり Baron デッキもまた、Lauer や Weissman といった先人のデッキを基に造られたのだ[原註]。
 …というように、この例については僕は反対だが、 edt の言うことは基本的には正しい。どのフォーマットでも、そこに出てくる カードは、デッキのアーキタイプと呼ばれる、ある種のパターンに当てはめることができる。

 端的に言うと、アーキタイプとして挙げられるのは、カウンター・スリヴァー(Counter Sliver)、ネクロ(Necro)、プリズン(Prison)、スライ(Sligh)、ストンピィ(Stompy)、ワイズマン(Weissman)、ツールボックス(Toolbox)、修繕(Tinker)、そしてエニグマ(The Enigma)だ。
 各デッキ群を代表するようなモデルについては議論の余地は少ないだろうけれど、デッキの位置付けというものは、歴史的に大きなドラマを演じてきた。たとえば、デッキが Counter Sliver と Weissman の間で(Counter Rebels)、Weissman と Prison の間で(Maher Oath)、 あるいは Prison と Tinker の間で(The German Dragon)揺れ動いた、というようなことは何度もあった。The Enigma は、これらのデッキの中で最も変わったデッキだが、マジック世界の上層部が何か間違いをやらかした時にしか出てこない。

 そして、このタイプは、長年の間、多くのアーキタイプに影響してきた。

CounterSliver

「LaBarreが憑いてやがる!」
−Marc Paschover

 アグロ・コントロールとも呼ばれる、Counter Sliver の特徴は、小型で高速なクロックと、それをバックアップする若干量のコントロール要素だ。大抵はヘボいパーミッション・デッキか? まれにダメなビートダウンデッキ? 場合によってはそれでもイケてる?

 Counter Sliver デッキは、マナ・コストの低い脅威を、相手の対抗呪文による防御の間隙を縫って通し、それを何らかのコントロール要素(普通はパーミッション)によって守りながら、相手のライフを削る、というようにデザインされている。

 Counter Sliver デッキが優位に立つのは、Weissman デッキが多い場合だ。普通の手札には、マナの軽い脅威が入っており、それに加えて、軽〜中程度の量のパーミッションにより、相手のクリーチャー除去やカード・アドバンテージを防ぐことができる。また、Counter Sliver は、The Enigma に対してもかなり有利だ。コンボ・デッキはパーミッションにはボロ負けするのが宿命だからだ。
 Counter Sliver 対 Weissman の場合、相手が場を構築する、ないし立て直すまでの時間は限られている。厄介な 2/2 クリーチャーによってクロックを掛けられているわけだ。

 Counter Sliver デッキは、一般に他のクリーチャー・デッキを苦手とする。
 クリーチャーが比較的小さく、場のコントロール力も弱いためだ。
 Counter Sliver の最悪の相手は、Prison のようなボードコントロール戦略で、クリーチャー・コントロールの要素が極めて強い場合は特に辛い。

 現在のスタンダード環境では、真の意味での Counter Sliver デッキは存在しない。Blue Skies デッキは若干遅いが、このデッキタイプの基本(クリーチャー、僅かなボード・コントロール、パーミッション)を反映している。また、コントロール・デッキ相手には優勢な反面、Fires のようなクリーチャー重視のデッキには全く歯が立たない。

Blue Skies - "Tight" Tommy Guevin

Main Deck
Sideboard
21 Island
4 Rishadan Airship
4 Spiketail Hatchling
4 Troublesome Spirit
4 Chimeric Idol
3 Sky Diamond
4 Foil
4 Gush
4 Opt
4 Thwart 
4 Wash Out

 Counter-Rebels は、ほとんどの対戦では Weissman 流のコントロール・デッキとしてプレイされる。要するに、《Blinding Angel/まばゆい天使》と《Fact orFiction/嘘か真か》の代わりにレベルの連鎖を使った白青コントロールデッキ、というわけだ。しかし、他の Weissman デッキと対戦する場合には、Counter-Rebels は相手の《Counterspell/対抗呪文》や《Absorb/吸収》をかわして 1〜2 マナのレベルを場に出し、そのまま Counter Sliver と全く同じようにして勝ちを目指すことになる。

Counter-Rebels - Kamiel Cornelissen

Main Deck
Sideboard
4 Adarkar Wastes
4 Coastal Tower
10 Island
8 Plains

1 Rebel Informer
2 Defiant Falcon
2 Defiant Vanguard
1 Jhovall Queen
2 Lin Sivvi, Defiant Hero
4 Ramosian Sergeant
1 Ramosian Sky Marshal
4 Brainstorm
4 Counterspell
1 Dominate
2 Fact or Fiction
4 Absorb
1 Disenchant
2 Dismantling Blow
2 Wrath of God
1 Rout

 最近のマジックの構築戦で見られた、「本物の」 Counter Sliver デッキの一番 良い例は、おそらく The Solution だろう。Zvi Mowshowitz が PT 東京で用いて優勝したデッキだ。
 このデッキは、クロックを掛ける優秀な低マナ・クリーチャー群として、今まででおそらく最も優秀な 2 マナ 2/2 クリーチャーを用い、非常に少ないパーミッションでバックアップしている。オリジナルの Counter Sliver デッキと同様、Zviのデッキは《Kavu Chameleon/カヴーのカメレオン》たった 1 体で大きな問題を抱えることになるのだが。

The Solution - Zvi Mowshowitz

Main Deck
Sideboard
4 Coastal Tower
10 Island
10 Plains

4 Stormscape Apprentice
4 Galina's Knight
4 Meddling Mage
4 Crimson Acolyte
4 Voice of All
4 Exclude
4 Fact or Fiction
4 Repulse
4 Absorb

 Counter Sliver の最も成功した例は、Nicholas LaBarre がメタゲームを読んで 使ったマーフォーク・デッキ(PT ローマ)だろう。少数派のクリーチャー・デッキをかわし、Academy や High Tide プレイヤーとの対戦では、《Force of Will》を何枚も引いて対抗したものだった。

Necro

「《Icequake》入りネクロみたいなデッキだな!」
−Josh Ravitz

 一番最初のプロツアーにおける《Black Vise/黒の万力》の制限以来、《Necropotence/ネクロポーテンス》というカードは、マジックプレイヤーの崇拝と嫌悪の対象となってきた。だが、このアーキタイプそのものが、デッキが依存しているこのカードアドバンテージ・エンジンに特有の原理群を象徴しているのだ。一言で言えば、"Necro"の戦略は、マナ効率の良い脅威と回答(通常は 1 対 1 だが、場合によってはそれ以上に資源を使う)から成り、さらにそれとは独立したカードドローイング・エンジンを使うことで、これらの脅威と回答とを使い続けることにある。

 "Classic Necropotence"デッキは、マナの最大化とカードアドバンテージの華麗なる研究の成果であった。このデッキが成功したのは、《Necropotence/ネクロポーテンス》がそれだけで十分に強力なカードであるために、デッキの残りは、毎ターンマナを使い切り、デッキの代名詞たるカードを信じてデッキを回し続けることに集中すれば済むためであった…  もっとも、ライフとマナ・ベースが続く限り、の話だけれど。

 古典的なスタイルの《Necropotence/ネクロポーテンス》デッキで、最も優秀なものは、おそらく Erik Lauer が最初の PT シカゴで使用したものだろう。
Randy Buehler は、先制攻撃を持った「熊」(2 マナでパワー 2 のクリーチャー)と、《Lake of the Dead》によって増強された《Drain Life/生命吸収》から成る彼のデッキに、大きく改造を加えた。《Necropotence/ネクロポーテンス》はあまりに強力なため、それを場に出すことが何よりも重要視された。これがひとたび場に出てしまえば、《Necropotence/ネクロポーテンス》プレイヤー はまず土地を出しそこねることはなく、当時評価が低かった《Firestorm/炎の嵐》のような、コストのかかる回答手段を使うことができた。CMU(カーネギー・メロン大学チーム) の "Firestorm Necro" デッキの優れていた点は、その全体的なマナ効率の積み重ねにあった。他のデッキデザインでは、《Nekrataal/ネクラタル》のような、カードアドバンテージを内蔵したカードや、《Wildfire Emissary/ワイルドファイアの密使》のような重攻撃クリーチャーを用いていたのに対し、この CMU のデッキは、1 枚のカードで大きな効果を出すよりも、むしろカードをできるだけ多くプレイしようとしていたのだ。

Firestorm Necro - Erik Lauer / Randy Buehler

Main Deck
Sideboard
2 Bad River
4 Badlands
3 Gemstone Mine
3 Lake of the Dead
4 Scrubland
8 Swamp

1 Ihsan's Shade
4 Knight of Stromgald
4 Order of the Ebon Hand
4 Demonic Consultations
4 Drain Life
4 Hymn to Tourach
4 Necropotence  
2 Firestorm
2 Incinerate
4 Lightning Bolt
3 Disenchant

 現在、《Necropotence/ネクロポーテンス》ほどに悪用できるカードはスタンダード環境には無いけれど、ネクロ・デッキの原理は今でも使える。
Eric Kesselman の Eye-Go デッキは、手札を《Accumulated Knowledge/蓄積した知識》と《Fact or Fiction/嘘か真か》で満杯に保っている。《Rout/総くずれ》、《Wrath of God/神の怒り》、《Circle of Protection/防御円》などの古典的な方法で場を一掃するのではなく、Eye-Go では脅威を 1 つずつ、大量のパーミッションと単体除去によって処理していく。

元のネクロ・デッキと、その子孫である「邪眼」デッキとでは、天敵もまったく同じ、という共通点がある。古の "Classic Necro" デッキは、Tom Champheng のプロテクション(黒)騎士・騎士団 12 体に、いいようにやられてしまった。それと同様に、Kesselman のデッキも、序盤に《Vendetta/血の復讐》が引けるようたっぷり祈っておかないと、《Ramosian Sergeant/レイモス教の兵長》1 体にしてやられることになりかねない。

Eye-Go - Eric Kesselman

Main Deck
Sideboard
13 Island
4 Salt Marsh
4 Swamp
3 Underground River
3 Evil Eye of Orms-by-Gore
4 Vendetta
4 Accumulated Knowledge
4 Counterspell
2 Dominate
2 Exclude
4 Fact or Fiction
1 Opt
2 Thwart
2 Spite/Malice
4 Undermine
4 Tsabo's Web

Prison

「腕より運 !」
−Chris Cade

1996 年の《Armageddon/ハルマゲドン》入り《Icy Manipulator》+《Winter Orb/冬の宝珠》ロックデッキに端を発する Prison デッキは、通常のコントロールとは対照的な、ボード・コントロールの典型的なアーキタイプとなった。
Prison はクリーチャー・デッキを標的とし、攻撃中心の脅威に対して次々に回答を繰り出すことを特徴とする。その一方で、クリーチャー対策にカードを多く使っているため、用意周到な Weissman 系のコントロール・デッキには全く勝てない(稀に、マナ・コントロール系のデッキと一般のコントロールデッキとの対戦で、後者のメインデッキに《Disenchant/解呪》が入っていない場合、《Winter Orb/冬の宝珠》のようなカードを通することができれば勝てることもある)。

Chris Cade の大元のデザイン以来、Prison アーキタイプはボード・コントロールに集中したデザインとなっているが、その多くは、クリーチャー対策と共にマナ・コントロール要素の多さを誇っている。現在のスタンダード環境では、Prison デッキは主流にはなっていないが、Brian Kibler が最近(Sideboard に)掲載した Thunder Cats デッキは、クリーチャーとマナに厳しい環境に着目したデッキの例となっている。その一方で、よくできた Weissman デッキを苦手とすることもまた、Prison アーキタイプとしての共通点である。

Thunder Cats - Brian Kibler

Main Deck
Sideboard
2 Dust Bowl
18 Mountain
4 Rishadan Port

2 Flowstone Overseer
4 Scoria Cat
1 Tahngarth, Talruum Hero
4 Fire Diamond
2 Star Compass
3 Earthquake
2 Ghitu Fire  
3 Hammer of Bogardan
4 Pillage
4 Seal of Fire
4 Stone Rain
3 Tectonic Break

ひたすらボード・コントロールに徹するデッキのうちでも、最近発展してきた Nether-Haups/Turbo-Obliterate もまた、Prison の仲間に入る。この Prison デッキとコントロールデッキとの対戦では、使用するカード(特に《Nether Spirit/冥界のスピリット》、《Obliterate/抹消》、《Urza's Rage/ウルザの激怒》)が揃って相性がよく、1 ゲーム目はデッキ的に有利となることがある(このアーキタイプにおいては珍しいことだ)。だがやはり、普通のコントロール・デッキが、《Misdirection/誤った指図》、《Thwart/妨害》などの武器に よって立て直すと、この優位も消え失せてしまうことが多い。

Sligh

「マジック最強のカードは、このカード、つまりただの《Mountain/山》だ」
−David Price

このデッキには紹介は不要だろう。このアーキタイプを使って初めてプロツアー予戦を突破したプレイヤー(Paul Sligh)の名前から取られた、誤った名称で呼ばれてはいるが、この斬新な"Geeba(Goblinの俗称)"デッキをデザインしたのは Jay Schnider だ。Sligh の原理は、マナ・カーブという考えかたと、最善ではないカードであっても適切な組み合わせでプレイすることで、限定的なカード・アドバンテージと、全体として勝てるデザインに仕上げることにある。デッキがカードの質で劣る分は、桁外れのマナ効率と、赤という色が持つ、終盤の 火力のポテンシャルによって十分埋め合わされている。

短い期間ではあったが、WotC が極めて強力でかつ軽い、例えば《Cursed Scroll/呪われた巻物》、《Fireblast/火炎破》、《Jackal Pup/ジャッカルの仔》、《Mogg Fanatic/モグの狂信者》のようなカードを作成したため、Sligh アーキタイプは一時期 Enigma のレベルにまで達し、構築戦形式のうちおよそ 3 つで、しかも同時に、比類なき最強のデッキとなったこともあった。

いずれにしても、Sligh デッキは昔から、遅いコントロール・デッキを喰い物にする一方で、ナイスバディな緑クリーチャーの餌食となってきた。青の強力なデッキが溢れていて、緑の大型クリーチャーが追いやられるような環境では、Sligh が栄えた。今日のスタンダードのように、緑のクリーチャー・デッキがまず選択肢として挙げられるような環境では、Sligh はどう頑張ってみても不人気としか言いようがない。

赤デッキの復活はあるだろうか?

そのためには、スタンダード環境に、スピードとマナ・コスト対パワーの点で、緑クリーチャーに匹敵するような赤クリーチャーのための余地がなくてはならない。赤の火力呪文の効率ももっと高くなる必要があるし、最低でも、相手側のよくある脅威ぐらいは除去できることが求められる。
ともあれ、《Blastoderm/ブラストダーム》がいる間は、赤の復活は望めないだろう。

そうは言ったものの、スタンダードは Sligh が少ない環境ではあっても、Sligh がまったくいない、というわけではない。最近では、PT シカゴで、オースティン在住の Bryan Hubble が、平均以下の赤クリーチャーが山盛りと、相性の良い呪文を妙なバランスで含んだ赤単色デッキをプレイして、賞金圏内でフィニッシュした。

Sped Red - Bryan Hubble

Main Deck
Sideboard
21 Mountain
3 Rishadan Port

4 Kris Mage
4 Skittish Kavu
4 Skizzik
4 Chimeric Idol
4 Tangle Wire
3 Hammer of Bogardan
2 Rhystic Lightning
2 Scorching Lava
4 Seal of Fire
2 Shock 
3 Urza's Rage

Stompy

「SeNoR sToMpY !」
−"Sensei" Frank Kusumoto

オリジナルの Senor Stompy デッキが開発されたのは、1997 年の全米選手権後のことであった。それは、当時の構築戦のスペシャリスト集団、Team AustiKnights が作成した、緑単色の《Winter Orb/冬の宝珠》・マナ拘束デッキである。
AustiKnight のデッキ・リストは、ビートダウンのスペシャリスト、Brian Hacker の手に渡り、その直後、同年の世界選手権で、後のスーパースター、Svend Geertsen をベスト 8 の座に導くこととなった。

それ以来、"Stompy"とは、緑単色のビートダウンで、1-2 マナの脅威と極めて高質のクリーチャーを用い、さらに、Sligh デッキであれば赤の除去を使うところで、クリーチャー強化を使って打撃を加えることに集中しているデッキとして認識されるようになった。
Stompy アーキタイプは、ウルザ・ブロックの「《Savannah Lions/サバンナ・ライオン》」もどき、6 版で再録された(当時)史上最高の 2 マナ・クリーチャー、そしてマスクス・ブロックの緑《Juzam Djinn》によって、その頂点に達した。下に示すバージョンには《Blastoderm/ブラストダーム》が入っていないが(当時の他のデッキには入っていた)、現在絶好調の Ryan Fuller は、このデッキで 2000 年のカナダ選手権に優勝した。

Stompy - Ryan Fuller

Main Deck
Sideboard
17 Forest
3 Gaea's Cradle
2 Treetop Village

2 Albino Troll
4 Elvish Lyrist
4 Pouncing Jaguar
4 River Boa
2 Uktabi Orangutan
4 Vine Dryad
4 Wild Dogs
4 Tangle Wire
4 Giant Growth
4 Rancor
3 Wild Might

開発されて以来ずっと、Stompy は緑単色であったが、そうでなくてはならないという理由が特にあるわけではない。ある時、Adrian Sullivan が僕に言ったことだが、黒のビートダウン・デッキで、クリーチャー強化を使い除去を使わないものは、事実上 Stompy デッキと同じだと言ってもいいだろう。…それからしばらくの間、僕らは「《Hatred/憎悪》」と言いながら《Might of Oaks/樫の力》を唱えたりしたものだ。

現在のスタンダード環境には、《Fires of Yavimaya/ヤヴィマヤの火》、《Assault/Battery/暴行+殴打》、《Shivan Wurm/シヴのワーム》のような魅力的なカードがあるため、緑単色のビートダウン戦術はあまり人気がない。しかし、Neutral Ground New York[訳注]で、このフォーマットにも Stompy デッキが存在することがすぐに発見された。ただし、その後人気が薄れてしまった けれど。このバージョンのビートダウン・レベルデッキでは、《Lin Sivvi,Defiant Hero/果敢な勇士リン・シヴィー》を使わず、ユーティリティ・カードも一切使っていない。その代わりに、とにかく大量の 1-2 マナクリーチャーと、《Infantry Veteran/歴戦の歩兵》、《Crusade/十字軍》、《Ramosian Rally/ レイモス教の再興》といった、印象的なダメージ増強カードを使用している。

White Stompy - Sean McKeown

Main Deck
Sideboard
20 Plains
4 Rishadan Port

4 Fresh Volunteers
4 Infantry Veteran
4 Ramosian Sergeant
4 Steadfast Guard
4 Longbow Archers
4 Tangle Wire
4 Armageddon
4 Crusade
4 Ramosian Rally

より最近では、ベルギーの Gert Coeckelbergh が、Stompy 流の緑単色デッキをプレイして地区選手権に勝っている。

St0mpers0n.dec - Gert Coeckelbergh

Main Deck
Sideboard
2 Dust Bowl
20 Forest
4 Rishadan Port

4 Blastoderm
4 Llanowar Elves
4 River Boa
4 Saproling Burst
4 Stampede Driver
4 Trained Armodon
4 Chimeric Idol
4 Tangle Wire
2 Hurricane

Coeckelbergh のデッキはマナの量が例外的に多いが、このデッキはある意味で、Fuller のデッキのような、的を絞った速攻デッキよりもむしろ、数年前に Geertsen を有名にした、大元の AustiKnights のデッキ・デザインに近い。
Coeckelburgh のデッキでは、《Tangle Wire/からみつく鉄線》、《Rishadan Port/リシャーダの港》、《Dust Bowl/黄塵地帯》によって、相手のマナ・ベースを邪魔しているし、他のデッキと違い、戦闘によらない「とどめ」の呪文として《Hurricane/ハリケーン》を使用している。この流儀のデザインであれば、通常なら低コストで効率の高いビートダウン・クリーチャーをより沢山要求するところだが、このデッキでは、主たる戦術が止められた場合に備えてフィニッシャーを準備してあるわけだ。

Weissman

「バレーボールの用語で説明すると分かりやすいかもしれない。相手に何点取られたって、15 点取られなければ大丈夫だ。それと同じく、Weissman 流のデッキは、最後の20点目が取られない限り、ライフの 19 点ぐらいなら喜んでさし出す」
−Robert Hahn

 昔々、カリフォルニアに住んでいた一人の少年が、「カード・アドバンテージ」を考案した。彼とその友人達は、ライフは 20 点では少なすぎると感じていた。そこで、ゲームをもっと長くプレイできて、かつ、デッキのデザインに全く新しい視点を持ち込めないか研究できるように、いくつかのルールを取り決めた。他のプレイヤー達が、スピードや、純粋なカードのパワーを追い求めたのに対して、Brian Weissman と彼の仲間達は、要塞哲学を発達させ、かの"The Deck" を作りあげた。このデッキは、すべてのものに対する回答手段を備え、常に防御に回った上で、ほとんど負けが決まったところでゲームが終わらせる−ただし、負けるのは相手だが−という目論みで作られていた。

Weissman デッキ("The Deck"として親しまれている)は、とにかく防御に徹するデッキである。他のほとんどのプレイヤーは、資源を攻撃と防御とに分けるけれども、この流儀では、資源をゲームのほぼ一方の側にだけ集中することを選んだ。これによって、事実上倍の防御力を発揮することができるわけだ。  カードの構成は、均等なパーツの選択、速度、そして効率である。The Deckは、勝利するまでに長い時間を要するけれども、ゲームの 1 ターン目から、《Red Elemental Blast/赤霊破》や《Swords to Plowshares/剣を鍬に》のような回答手段をプレイした。勝利手段でさえ、飛行による攻撃と同時にブロッカーとしての役割を果たした。《Serra Angel/セラの天使》は往時の《Blinding Angel/まばゆい天使》や《Morphling/変異種》であったし、また《Mirror Universe》はライフ回復の手段であると同時に勝利手段であった。

The Deck 1996 - Brian Weissman

Main Deck
Sideboard
4 City of Brass
4 Island
1 Library of Alexandria
3 Plains
3 Strip Mine
4 Tundra
2 Volcanic Island
  
2 Serra Angel
1 Black Lotus
2 Disrupting Scepter
1 Jayemdae Tome
1 Mirror Universe
1 Mox Emerald
1 Mox Jet
1 Mox Pearl
1 Mox Ruby
1 Mox Sapphire
1 Sol Ring
1 Demonic Tutor
1 Amnesia
1 Ancestral Recall
1 Braingeyser
2 Counterspell
4 Mana Drain
1 Timetwister
1 Timewalk
1 Recall
1 Regrowth
2 Red Elemental Blast
4 Disenchant
2 Moat
4 Swords to Plowshares

Weissman の伝統を受け継いだ子孫は数多い。
Randy Buehler が 1998 年と 1999 年の世界選手権で使用した青単色デッキ(特に後者)は防御的な例であり、カード・ドローとパーミッションの壁に守られながら、土地という最も本質的な資源を用いて相手を倒した。
《Blinding Angel/まばゆい天使》と《Bribery/袖の下》を使う、現在のスタンダード環境における青白デッキは、より忠実に The Deck をなぞらえたものである。これらのデッキもまた、青白の防御的なデッキであり、大量のカード・アドバンテージと、パーミッションと、多目的クリーチャーをもって相手を倒す。デッキリスト、特に David Price、Scott McCord、Alex Shvartsman の手によるものは、どれも Internet 上に散見されるものだ。

Toolbox

「あのデッキか…俺なら『Dystopia.dec』とでも呼ぶかな」
−Erik Lauer

この流儀については、後日別の機会により詳細な分析を行うつもりだ。というのは、その進化の過程が珍しく興味深いことに気付いたからだ。簡単に言えば、このデッキは幅広い汎用性を持たせることを焦点としており、脅威に対して(それと、特にさまざまな種類のパーマネントに対して)、各種の多才なカードをもって対応しようとするのが一般的である。

 "Toolbox"という呼称そのものは、Brian Kowal の Survival/Opposition デッキ(2000年代のエクステンデッドのデッキで、まだ Toolbox としての進化の途中であった)から採られた。  Toolbox の伝統は長く、Bertrand Lestree と Preston Poulter が 1996 年のプロツアー・ニューヨークでプレイしたデッキに端を発し、1997 年の地区選手権において隆盛を極めた緑 5 色(5cG)デッキから、翌年の(Darwin) Kastle デッキと Survival/Recur (およびその発展形)、そしてこのアーキタイプの根源である、大元の緑白のクリーチャー撹乱デッキへと変遷を辿っている。

 一見、Toolbox の進化は、筋道立っていないようにも感じられるが、このアーキタイプを見る際には、各環境において使うことのできる、基本となるユーティリティ・カード(特に白の単体除去)の有効性について、常に考えてみなくてはならない。 時折、Toolbox は、Prison、Tinker、そしてとりわけ Weissman デッキの影響を受けてきた。確かに、Toolboxには、Weissmanの「何でもこい」的な部分がある。Toolbox が特定の環境において「最高のコントロールデッキ」となった時すらあった(例えば 1999 年の地区選手権における Survival/Living Death デッキ)。どちらのデッキも効率を最大の目標としており、デッキの性質上、様々な対戦相手に対する回答手段が必要ではあるが、Weissman と Toolboxとの主たる相異点は、前者が防御手段を過剰なまでに用意しておこうとするのに対し、後者はゲームの「両方の」サイドをプレイして、個々のカードにより多くの働きを期待していることにある。 このため、Toolbox の呪文は往々にして二役を背負っている。「除去であり、かつ勝ち手段」とか「カード・ドローでかつ何か」が一番よくある組み合わせだ。

Toolbox は、他のどのデッキにもまして、対戦相手にこちらのカードへの対処を迫る。ビートダウン相手に一方的にやられることはないし、ターンさえ十分に稼げれば、アグレッシブなデッキを倒せるだけの手段を持ちあわせている。  相手と関わりあうカードがないようなデッキ(ボード・コントロールに徹するデッキや、相手を 1 ターンで倒すデッキ、1 ターンで侵攻して殴り倒すビートダウン・デッキ)がこのデッキの一番辛い相手である。にもかかわらず、コントロール戦術でさえ、時には、この戦術が伝統的に使いるマナ攻撃の前にひれ伏すことがある。

現在のスタンダード環境では、Toolbox に相当するのは PT Junk だ。

PT Junk - Becker/Flores/Senhouse

Main Deck
Sideboard
4 Brushland
6 Forest
8 Plains
4 Rishadan Port
1 Rith's Grove
1 Treva's Ruins

4 River Boa
4 Fresh Volunteers
4 Ramosian Sergeant
4 Voice of All
4 Chimeric Idol
4 Armadillo Cloak
4 Noble Panther
4 Wax/Wane
4 Parallax Wave

祖先となるデッキと同様、この緑白クリーチャー・デッキも、相手の様々なパーマネントに対する回答手段を持つと共に、若干のライフ回復手段と、多目的なクリーチャーを用意している。

前述したように、Toolbox についてはより突っ込んだ研究を後日行う予定なのでお楽しみに。

Tinker

「ともかく、マナ加速と重い呪文との組み合わせは、健全な戦略とは思えない」
−Mike Donais

僕と、それから時々一緒にデッキをデザインするパートナーの DonLim(Parallax-Replinishのデザイナーでもある)は、残念ながら彼の意見に賛成だ。「Elf ばっかりドロー」とか「Monolith ばっかりドロー」とかいうこともよくある。しかし、Tinker 戦略は過去何度も、マナ加速と極めて重たいカードから生まれるパワーを発揮して、相手を圧倒してきた。それも、そのパワーだけでなく、それが解決するスピードによって。

"Tinker"デッキはマジックの初期から存在した。
最初の頃は《Llanowar Elves/ラノワールのエルフ》と《Wild Growth/繁茂》によって《Craw Wurm/大喰らいのワーム》を場に出すというものだったが、初期のデザインで最も有名なのは、"King of the Fatties"こと Jamie Wakefield のものだろう。以下に示すのは、このマジック界のレジェンドが、最初の"Tinker"プロツアー、'99年のニューヨークへの予戦を通過するのに用いたバージョンだ。

Secret Force - Jamie Wakefield

Main Deck
Sideboard
16 Forest
3 Gaea's Cradle
3 Wasteland

3 Elvish Lyrist
4 Fyndhorn Elves
4 Llanowar Elves
4 Spike Feeder
2 Spike Weaver
3 Uktabi Orangutan
3 Verdant Force
4 Wall of Roots
4 Creeping Mold
3 Overrun
4 Natural Order

Jamie が極めて重い呪文、たとえば《Verdant Force/新緑の魔力》や《Overrun/踏み荒らし》を使っていることに注意しよう。この種の脅威を唱えるためには、当然各種の加速手段を使わなければなかった。結果として、12 枚のマナ生成クリーチャーと、4 枚の《Natural Order/自然の秩序》(マナ・コストを「ごまかす」ことができる)を使うことになった。

先にちょっと触れたように、本物の Tinker デッキは、PT ニューヨークで、Jamie が予戦を通過した直後に登場した(今日でも、Jamie は Tinker デッキを「青いSecret Force」と呼んでいる)。《Gaea's Cradle/ガイアの揺籃の地》は Jamie のデッキにおいて有効なカードであったが、それと比べても、すぐさま禁止された《Tolarian Academy/トレイリアのアカデミー》は McCarrel のデッキにおいて馬鹿馬鹿しいほど強力だった。 勿論、それも当たり前の話ではあるけれど。

このデッキ中のカードは、平均して、その祖先となる上述の緑単色デッキよりもさらに重たい。Secret Force における《Natural Order/自然の秩序》と同様に、McCarrel の Wildfire デッキでは、正真正銘の《Tinker/修繕》を使って、各ゲームに必要なアーティファクトを探してきた。

Wildfire-Tinker PTNY'99 winner - Casey McCarrel

Main Deck
Sideboard
6 Island
13 Mountain
1 Remote Isle
1 Smoldering Crater
4 Tolarian Academy

1 Crater Hellion
2 Phyrexian Colossus
4 Grim Monolith
1 Mishra's Helix
4 Wildfire
1 Phyrexian Processor
2 Ring of Gix
3 Temporal Aperture
3 Worn Powerstone
4 Voltaic Key
2 Confiscate
1 Stroke of Genius
4 Tinker
3 Arc Lightning

McCarrel がニューヨークで優勝した数ヶ月後、破竹の勢いのチャンピオン、ドイツの Kai Budde が、このアーキタイプの赤単色バージョンで世界チャンピオンに輝いた。Budde のデッキ、German Dragon は、青を使わなかったけれど(ということは代名詞である《Tinker/修繕》も使ってないということだ)、Tinker 属の哲学は反映していた。つまり、極めて強力で重たい呪文を、掟破りのマナ加速によってプレイするということだ。

The German Dragon 1999 World Champion- Kai Budde

Main Deck
Sideboard
3 Ancient Tomb
4 City of Traitors
13 Mountain

1 Karn, Silver Golem
3 Masticore
4 Covetous Dragon
4 Cursed Scroll
4 Fire Diamond
4 Grim Monolith
2 Mishra's Helix
4 Temporal Aperture
4 Thran Dynamo
4 Voltaic Key
2 Worn Powerstone
4 Wildfire

そして、そのちょうど 1 年後、さらに無敵のプレイヤー、Jon Finkel が、その反対側(《Tinker/修繕》)を使って世界一となった。まさに Budde が《Wildfire/燎原の火》の側の半分で前年勝ったのとそっくりだった。このデッキのパワーをもって、Finkel は Bob Maher,Jr. を倒して世界一の座についたわけだが、Bob もまたほとんど同じデザインのデッキを使っていた。

Tinker 2000 World Champion - Jon Finkel

Main Deck
Sideboard
4 Crystal Vein
9 Island
4 Rishadan Port
4 Saprazzan Skerry

4 Masticore
4 Metalworker
1 Phyrexian Colossus
1 Crumbling Sanctuary
4 Grim Monolith
1 Mishra's Helix  
4 Phyrexian Processor
4 Tangle Wire
4 Thran Dynamo
4 Voltaic Key
4 Brainstorm
4 Tinker

さて、この記事のタイトルは「『Tinker』デッキの探究」だ。今日のスタンダートには、《Demonic Tutor》+《Dark Ritual/暗黒の儀式》の組み合わせ(つまり、サーチ手段に加えて、脅威を場に出すのを加速する)に相当する、《Tinker/修繕》や《Natural Order/自然の秩序》のようなカードは存在しない。今あるのはマナ加速側の半分であり、このアーキタイプのこちら側(つまり Budde 側)の成果から生まれたのが、スタンダードで事実上頂点に立つこのデッキだ。

My Fires - Zvi Mowshowitz

Main Deck
Sideboard
2 Dust Bowl
10 Forest
4 Karplusan Forest
5 Mountain
4 Rishadan Port

4 Birds of Paradise
4 Blastoderm
4 Llanowar Elves
3 Jade Leech
3 Two-Headed Dragon
4 Chimeric Idol
4 Assault/Battery
4 Fires of Yavimaya
4 Saproling Burst  
1 Earthquake

Tinker アーキタイプの古典的な弱点は、1999 年の地域別選手権の際の、Mike Donais のコメントに隠されている。この種のデッキは、初手から爆発的に進むこともあるが、デッキ自身に負けることもよくある。呪文の混ざり具合が悪い場合、「重たい脅威ばっかり」とか「エルフばっかり」とか、最初に述べたような悲劇の餌食となるわけだ。

マナ加速と重たい脅威によるパワーというのは、つまりこういうことだ。でかくてヤバい化物ほど、止められない。だが、そんな怪物も、6 ターン目か 7 ターン目に普通に鎌首をもたげたところで、相手も同様に場を構築してきたのだから、しかるべき対処を取ることができる筈だ。つまり、相手はよりマナ効率の良い呪文や、カードアドバンテージを伴う手段で対処できる可能性が高い。しかし、もし 5/5 の脅威が 3 ターン目に、速攻を付けて攻撃してきたら、その脅威はずっと大きな問題となる。Tinker デッキは伝統的に、コントロールしようとする相手を「脅威で押し切る(out-threated)」ことができる。マナ加速が豊富なため、1 ターンに脅威を 2 つ 3 つはじき出すことができるのに対し、相手には 1 つか 2 つに回答できるだけのマナしかない。Wakefield の言葉を借りれば、「最後のデカブツが相手を倒す」わけだ。

とは言え、このアーキタイプは最も引きに左右される。「脅威のドロー(threat draw)」、つまり、マナは *十二分に* あるがそれだけ、ということもあるけれども、今時の《Fires of Yavimaya/ヤヴィマヤの火》デッキは、通常 2 ターン目に《Fires of Yavimaya/ヤヴィマヤの火》、3 ターン目に《Blastoderm/ブラストダーム》、4 ターン目に《Saproling Burst/はじける子嚢》と展開し、さらに次々と脅威を毎ターン繰り出していく。5/5 クリーチャーが毎ターン、速攻付きで相手に押し寄せていったら、Eye-Go や青白の Counter-Wrath のような、普通なら「分が悪い相手」であっても、速度とパワーに対処しきることは難しい。

The Enigma

時には、何かえらくおかしなことが起きていて、どうにもしようがないこともある。

競技として構築戦をプレイするプレイヤーの間には、こんなジョークがある。
「WotC の研究・開発チームは、ともかくどんなデッキでも作ってみる、そうすれば誰かしらがプレイするから」。さらに、「時々何かが網の目を潜り抜けて、ありえないほど強力なカードが日の目を見る」とジョークは続く。

さてこれは、一見した限りではそれほど悪いことでもない。Zvi Mowshowitz がすぐ指摘したことだが、「ぶっ壊れたカード」が無ければ、構築戦用として受け入れられるカードの限界が *どこまでか* を見極めることなどできない。それに、もし問題が発生したなら、強力すぎるカードを禁止するだけの力もある。

しかしながら、特定のデッキが同時代の他のデッキよりも圧倒的に優位なことがある。この種のデッキは、コストの低すぎるカードがてんこ盛りで、ものすごい量のカード・アドバンテージ、ないしタイム・アドバンテージを得られるとか、ゲームを 1 ターンで終わらせることができるとかいったものだ。こういったデッキは The Enigma と呼ばれる。これらのデッキの共通点は、最強である、という以外には必ずしも存在しない(しかし、edt がかつて書いたことだが、デッキのデザインが最強のカードを見つけることに集中していたら、デッキに残っているスペースは、何か高速な勝利手段のコンボの分しか残っていない)。奇妙なことではあるが、The Enigma属のデッキには、弱い呪文がいくつか入っていることがある。これらの呪文は、デッキ全体のデザインを生かす上で、どうしても必要なものである。例えば、《High Tide》とか、《Donate/寄付》とか、《Shield Sphere》とか。

もし The Enigma 属に共通点があるとすれば、それは、このデッキを負かすためには対戦相手はそのデッキに狙いを絞らざるをえない、ということだ。この種のデッキはそのくらい、どのデッキに対しても効果的なのだ。

ここ数年の間に、The Enigma のレベルに到達したデッキは数多く存在する。以下に挙げるのは、そのうちでも最も忌み嫌われ、最も恐れられ、最も相手にしたくないデッキのいくつかである。これらのデッキの多くは、大会に何度も登場し、様々なバリエーションと多彩なプレイヤーを誇る。ここでは、そのうちでも、プレミア・イベントでベスト 8 入り、ないし優勝したものを選んだ。

Deadguy Red PTLA 98 Champion -David Price

Main Deck
Sideboard
16 Mountain
4 Wasteland

4 Canyon Wildcat
4 Fireslinger
4 Jackal Pup
4 Mogg Conscripts
4 Mogg Fanatic
4 Mogg Raider
2 Rathi Dragon
4 Cursed Scroll
2 Scalding Tongs
4 Giant Strength
4 Kindle

Academy PT Roma Champion - Tommi Hovi

Main Deck
Sideboard
4 Ancient Tomb
3 City of Brass
4 Tolarian Academy
4 Tundra
4 Volcanic Island
4 Lotus Petal
4 Mana Vault
4 Mox Diamond
2 Scroll Rack
3 Voltaic Key
3 Intuition
3 Mind over Matter
3 Power Sink
4 Stroke of Genius
4 Time Spiral
4 Windfall
3 Abeyance


High Tide GP - Kai Budde

Main Deck
Sideboard
16 Island
4 Thawing Glaciers
3 Volcanic Island

1 Palinchron
1 Brainstorm
2 Arcane Denial
4 Counterspell
4 Force of Will
3 Frantic Search
4 High Tide
4 Impulse
3 Merchant Scroll
1 Mystical Tutor
3 Stroke of Genius
4 Time Spiral
3 Turnabout


The Skull Catapult / Cocoa Pebbles - Tony Dobson

Main Deck
Sideboard
4 Badlands
4 City of Brass
4 Gemstone Mine
3 Peat Bog
3 Phyrexian Tower
4 Scrubland

2 Phyrexian Walker
4 Shield Sphere
4 Academy Rector
1 Mana Vault
3 Mox Diamond
4 Dark Ritual
4 Demonic Consultation
4 Duress
4 Necropotence
4 Goblin Bombardment
1 Aura of Silence
3 Enduring Renewal


Trix - Scott McCord

Main Deck
Sideboard
4 Gemstone Mine
3 Island
6 Swamp
4 Underground River
4 Underground Sea
4 Mana Vault
1 Contagion
4 Dark Ritual
4 Demonic Consultation
4 Duress
4 Necropotence
3 Vampiric Tutor
2 Brainstorm
4 Donate
4 Force of Will
1 Hoodwink
4 Illusions of Grandeur

これらのデッキの存在は、今までずっと見てきたデッキほとんどすべてを文脈づける一助となるはずだ。これらのデッキが自分自身をどのように位置づけているか知ることは、プレイテストや対戦分析の役にたつだろう。

重い呪文は楽しいぜ!

愛を込めて

-MIKE

原註: そうは言うものの、最も革新的な、伝統を破ったスタイルのデッキは、いつの時代でも Adrian の頭脳から飛び出てきた、というのは事実かもしれない。
edt の前述の発言の時点ではまだ考案されていなかったデッキだが、Dred Panda Roberts は、僕の知る限り、The Enigma デッキとして初めて、《Necropotence/ネクロポーテンス》を11枚ほど使用し、それを使って、《Pandemonium/伏魔殿》、《Phyrexian Dreadnought/ファイレクシアン・ドレッドノート》、そしてその代用品、の 3 枚コンボを探すことを主眼としている。
Dred Panda Robertsは、その後のすべてのネクロ・コンボデッキ、The Skull Catapult(PTシカゴ'99)、Trix(様々なトーナメント)、Saber Bargain(同左)の先駆けとなったのだ。

Dred Panda Roberts - Adrian Sullivan

Main Deck
Sideboard
4 Badland
4 Sulfurous Springs
4 Gemstone Mine
3 City of Brass
5 Swamp

4 Phyrexian Dreadnought
4 Lotus Petal
4 Mana Vault
4 Dark Ritual
4 Demonic Consultation
3 Duress
4 Necropotence
4 Reanimate
2 Vampiric Tutor
3 Final Fortune
4 Pandemonium

訳注: Neutral Ground はアメリカの有名なマジック取扱店。



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