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3 選手が失格処分に

〜 2001 年 APAC 決勝ラウンドで起こった出来事に関して〜

森慶太

 最初に皆さんに心していただきたいのは、これは何よりもこれを読んでくださっているあなたに教訓としてよく考えていただきたいことであることです。この記事を書かせて頂いている私自身が、今回の事件からは考えさせられることが多かったものでした。
 

「日曜日に開催されたトップ 8 ラウンドに関することとして、我々は複数のプレイヤーから Peter Chao 選手と斎藤友晴選手の間で金銭のやりとりがあったようであるという情報を得ました。
 斎藤選手の賞金のうちの $2000 を受け取ることを条件に、トップ 8 入賞プレイヤーインタビューの後に Chao Peter 選手が実際にマッチをプレイしなかったのです。(開始間もなく投了を宣言)
 そして、Chao 選手がこの申し出をした際に、斎藤選手が英語に通じていなかったために中村聡選手がこれを通訳として仲介していました。
 この 3 者は「賄賂」行為のためにこのトーナメントから失格処分となりました。金銭のやりとりによってマッチを投了するという行為は違反であるからです。この違反にかかわった全員に責任が存在します。
 最後に、この事件にかかわった全てのプレイヤーが事実関係の調査に対して非常に協力的であったことも付記します」

- Jeff Donais(Head Judge)

 上記の Jeff Donais のアナウンスに紹介されているように、2001 年 Asia Pacific Championship の決勝ラウンドに進出していた 3 人の選手、Chao Peter と斎藤友晴選手、中村聡選手が「受賞資格も失う失格」処分となる裁定が下りました。
 「受賞資格も失う失格」とはそのトーナメントによって得られる上位入賞賞金と入賞にともなうイベント招待の権利が剥奪される、という非常に重いペナルティーのことで、正確には Disqualification Without Prize と命名されています。これにより上記 3 選手は決勝ラウンドから除外され、APAC ベスト 8 入賞者に与えられる賞金と世界選手権への招待権も受けることが出来なくなりました。

 これだけ重い処分が下されるにいたった違反行為とは何であったのかというと、それはいわゆる「賄賂」行為であったのです。

 問題とされる行為があったのは、二日目のスタンダードラウンドが終わって決勝ラウンド進出者とその組み合わせ表が発表されて直後のことです。準々決勝で対戦することとなった Chao Peter 選手(台湾)と斎藤友晴選手(日本)のマッチに関して、「Chao 選手の方から斎藤選手に対してそのマッチを譲る(投了する)かわりに金銭を要求したいという申し出があり、これが中村選手の仲介(通訳)を通じて成立した」というのが違反行為の概要です。これは明らかにアンフェアな出来事ですが、問題の起こってしまった原因や根ざしている病根を考えてみると、これは決して「ヒトゴト」はありません。

 何をしてここで私が問題として挙げているのかというと、「賞金を分け合うことを前提に出来試合(八百長)を行う」ということに関してほとんど抵抗感を感じていないプレイヤーがあまりにも多いということです。Intentional Draw というシステムが存在し、自由に「投了」することが認められているということは事実なのですが、マッチの結果が「共謀」によって左右されてしまうようなことは決して許されないものなのです。
 
 驚くべきことに、斎藤友晴や中村聡クラスといった日本では強豪とよばれるプレイヤーであってさえもこのような「不正行為」に関する DCI のペナルティ・ガイドラインにまるで通じていなかったということが今回の一件で明らかになってしまいました。コンチネンタル・チャンピオンシップの参加者たるもの、ルーリングやペナルティ・ガイドラインに関してはしっかりとした知識が要求されてしかるべきものなのにもかかわらず・・・です。

「決勝戦の前日、Peter 選手が斎藤選手に次のような英語で申し出をした。『私は仕事の都合で、日曜日の飛行機を予約している。最後まで試合に参加できないので、ドロップしようと思っている。ついては、君は自動的に勝ちが決まるわけだが、いくらか賞金を分けてくれないか。』斎藤選手は英語がわからないため、私がその通訳をした。
 私は、Peter 選手は何があろうと試合に参加することができない状態にあり、交渉が成立しようがしまいが、斎藤選手の勝ちは決定していると、Peter 選手の説明を理解していた。当然、そのように通訳したので、斎藤選手の理解も同様であった。『星を金銭で買い取った』という認識は無く、『せっかく決勝に残ったのにドロップせざるを得ない対戦相手に配慮をした』という認識であった。

 残念ながら、斎藤選手と私の、ペナルティ・ガイドラインに対する知識は極めて不十分なものであった。Peter 選手が『ジャッジに申告しておくよ。』と発言した時点で、ああ、報告してくれるんなら大丈夫なんだろう、と自分達に都合よく解釈してしまったのである。もちろんこの認識は誤りだった。あくまで、『勝敗にかかわる内容に関して』『金銭のやりとりを行った』この 2 点だけで、ペナルティは発生する。『殺人をおかすとつかまるなんて知らなかったんだ』という理屈が通らないのと同様に、刑罰に関する無知は有罪をくつがえしてくれるわけではない。
 不届きな共謀を行った 2 人は有罪。ベテランプレイヤーとしてそれを止めるべきであるのに、こともあろうか通訳して手助けした私もまとめて有罪。というわけで、斎藤選手と Peter 選手は、せっかくつかんだ世界選手権への切符を失い、3 人とも、賞金全額をもって『愚か者の称号』を買い取ったことになった。

 自分の行為に自分で責任を取るのは当然である。正式なペナルティは、後に発表されることになるだろうが、私は、すべて、クレームなしに、受け入れるつもりである。この記事の読者のみなさんには、この愚か者たちの行為にせめてもの救いをもたせるために、同じ轍を踏まないようにしてほしい。
 公式トーナメントは、実力を測るための場である。それを阻害するような行為はあるべきではなく、それを防ぐためにペナルティ・ガイドラインが存在する。公認トーナメントに出るならば、ぜひ一度は目を通してみてほしい。
 経験者として忠告させてもらえれば、『愚か者の称号』は法外に高い買い物である。」
-中村聡

 DCI はトーナメントがフェアなものであり続けることために、不正行為には断固たる裁定を下していきますが、何よりも参加者たる皆さんが自覚とプライドとを持って行動してくださることこそが肝要なのです。



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