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準々決勝:ポーランド vs. フィリピン

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 これぞワールド・マジック・カップ。地球の反対側にある2チームがさらに別の一角へと飛び、注目を集めるトップ8準々決勝の試合で、賞金と、名誉と、栄光と、そして――これらと同じ価値のある――プロツアー招待権を賭けて、対峙する。

 ポーランド代表か、あるいはフィリピン代表のどちらが勝っても、これまでに行われたマジックの世界大会で最高の結果であり、今週末は両チームともこの結果にふさわしい戦いをしてきた。

 フィリピン側のヒーローは、時おりプロツアーに現れ、国の代表は5回目となるジェラルド・カマンゴン/Gerald Camangonだ。カマンゴンはモダンでドランを操り、チームをトップ8に導く助けとなった。アンドリュー・カンティリャーナ/Andrew Cantillanはスタンダードで《秘密を掘り下げる者》デッキを支持し、ザックス・オザキ/Zax Ozakiは他の者と同じようにジャンドでイニストラード・ブロック構築に臨むだろう。


ワールド・マジック・カップ準々決勝で戦うのはチーム・ポーランドとチーム・フィリピン。
最も距離のある2チームはこれまでの国際的なチーム・トーナメントを勝ち進んできた。

 ポーランドのペース・メーカーは、名手トメク・ペドラコウスキー/Tomek Pedrakowskiだ。彼はブロック構築でジャンドを使うことになるだろう。アダム・ビューバックズ/Adam Bubaczはスタンダードでゾンビ・デッキを、そしてマテウス・コペック/Mateusz Kopec――国の代表となるのは2回目だ――はモダンで青赤緑《秘密を掘り下げる者》デッキを操るだろう。ポーランド・チームはチーム構築戦予選3回戦を全勝で抜け、この場でも圧倒的なパフォーマンスを見せようとしている。

 騒然とした場から離れて、他のふたつより進んでいるモダンに注目することにしよう。シードの優位でポーランド・チームが先手を選ぶと、両チームともこれまでそうしてきたように、チームメイトと手を合わせ、拳を合わせた。

ゲーム1

 ポーランド・チームの先手。コペックはテンポ・ベースの青赤緑《秘密を掘り下げる者》デッキを、望み通りの場所に置いた。

 望み通りにならなかったは6枚の手札だ。だがそれでも彼は1ターン目にそのデッキ名となったものを着地させ、2ターン目に《マナ漏出》で裏返す動きを止めなかった。

 カマンゴンは《貴族の教主》で危険な1マナ域を置き返し、強烈な2ターン目を加える。《コジレックの審問》が《マナ漏出》、《呪文貫き》、《稲妻》、《ヴェンディリオン三人衆》を公開し、そして、3枚目の土地と赤マナが無い、という情報を得たカマンゴンは《マナ漏出》を抜き、続けて《スレイベンの守護者、サリア》でコペックの序盤の展開を妨害した。

 コペックができるのは《昆虫の逸脱者》で攻撃するだけで、それを尻目にカマンゴンは《聖遺の騎士》と《タルモゴイフ》2体で盤面を一気に強化した。それでもなお、いくつかターンが過ぎると3/2飛行持ちの攻撃手によって、カマンゴンのライフは4まで減った。

 しかし、及ばず。コペックは致命傷となるカマンゴンの攻撃に《ヴェンディリオン三人衆》でブロックしようとするが、三人衆が見せたのはフィリピン側がずっと隠し持っていた《殺戮の契約》と、《大渦の脈動》だった。どちらの除去呪文も、第一ゲームを取るダメージを通すには十分なものだ。

どっちがいい?

 カマンゴンのチームメイトも第一ゲームを手早く決め、彼の勝利に加わった。オザキは、ここぞという時に《忌むべき者のかがり火》をX=4で奇跡し、ジャンド同型戦を勝ち取った。スタンダードでは、ポーランドのビューバックズが、プレッシャーを与える《戦墓のグール》が1枚だけの遅めのハンドをキープして、それは《睡眠》が《秘密を掘り下げる者》デッキの《修復の天使》とのライフ・レースに終止符を打つ際、響いてしまった。

 あっという間に、フィリピン側が勝ち越した。


チーム・フィリピンは3試合とも早い段階で1ゲームリードした。

ゲーム2

 カマンゴンは6枚の手札でじっと考え、2枚の《貴族の教主》と2枚の《盲信的迫害》、という中途半端な初手で始めることを決めた。《秘密を掘り下げる者》が群れを成して来るなら、良いハンドだ。

 しかしながら、この手札は《昆虫の逸脱者》に対しては良いものではない。コペックが再び2ターン目に(《謎めいた命令》を公開して)変身させると、《貴族の教主》を1体《稲妻》で落とされ、もう1体も《瞬唱の魔道士》プラス《稲妻》で完璧に処理された。

 カマンゴンは《タルモゴイフ》を盤面に補充するものの、先ほどのゲームのように、飛行を持つ青い虫から《稲妻》に相当するダメージを毎ターン受け、さらにドローも《盲信的迫害》を撃つための土地以外引かない。《地平線の梢》を割っても助けは来ず、モダンは3ゲーム目に移る……

 ……その前に、両チームが、今にもゲームが決まりそうで張りつめた空気のスタンダードの試合に集まった。

 さて、コペックがカマンゴンを打ちのめしている頃、ペドラコウスキーはダブルマリガンを強いられ、《忌むべき者のかがり火》2枚――ひとつは奇跡、もうひとつは通常の――でゲームを作るものの、結果的に、最初に失ったアドバンテージ差で負けた。フィリピンを準決勝に向けて一歩進める勝利だ。

 それがスタンダードの試合にさらなるプレッシャーをかけた。フィリピン側が1ゲームリードしているが、この試合は早いターンにビューバックズのゾンビから強大なプレッシャーを受けていた。カンティリャーナは《ギデオン・ジュラ》でなんとか盤面を保つが、わずかライフ1で耐えている状態だった。

 その後のシナリオはこうだ。《秘密を掘り下げる者》デッキはライフ1で、盤面には《修復の天使》、《刃の接合者》とゴーレム。ゾンビ使いは2体の《ファイレクシアの変形者》を繰り出して、「天使」の能力を使い、2体のゴーレムを加えて盤面をしっかりと固定している。

 しかし、カンティリャーナが《瞬唱の魔道士》をトップすると、彼は支配から開放され、《蒸気の絡みつき》で唯一の飛行ブロッカーである天使(コピー)を排除し、ゾンビ使いのライフを4まで減らした。《蒸気の絡みつき》のフラッシュバックと、あと一度の攻撃で致死ダメージだ。

 ゾンビは火力呪文を願った。見えたのは《虚無の呪文爆弾》だったが、《秘密を掘り下げる者》使いに《瞬唱の魔道士》→《蒸気の絡みつき》プランを一手早く使わせることができる。ライフは4点で、ビューバックズには《ファイレクシアの変形者》を再び唱えるのは厳しかった。それでも彼はそれを使う道を選んだ。

 ポーランド側全員の脳が彼の帰還を信じ、ビューバックズは《ファイレクシアの変形者》を唱えて――これでライフは1――《瞬唱の魔道士》をコピーして、《破滅の刃》をフラッシュバックし、致命的なダメージを与えてくる《修復の天使》を除去した。

 そしてゾンビが《吸血鬼の夜鷲》を引き込み、ただ1体の飛行持ちがカンティリャーナの地面に取り残された軍勢と向かい合った。行動を余儀なくされ、カンティリャーナは2体のゴーレムで攻撃した。だがゲームを終わらせることはできなかった。《吸血鬼の夜鷲》に対する解決策はなく、試合は1−1のイーブンになった。

 そしてそれは、非常にタイトな試合で負けて総崩れになる可能性から一転、3ゲーム目で勝負を決する試合がふたつになった、ということだ。


チーム・ポーランドがふたつの試合を第3ゲームまで押し戻す。

ゲーム3

 初手《コジレックの審問》が見せたのは《呪文嵌め》と《血清の幻視》と《稲妻》だった。カマンゴンはその中から《呪文嵌め》を抜いた。

 コペックの第一ドローは、当然のように《秘密を掘り下げる者》。

「わかってくれるよね。こいつを引くつもりがないなら使わないよ」コペックが肩をすくめて言った。

 ダメージを伴うマナ・ベースによってカマンゴンのライフはすでに15になっているので、《秘密を掘り下げる者》が早いターンで裏返ると危険だ。彼は2枚目の《コジレックの審問》で《血清の幻視》を抜き、《秘密を掘り下げる者》が1回目のチャンスで裏返るのに失敗するのを見守った。

 だが2回目はそうはいかない。

 《スレイベンの守護者、サリア》を処理するのに《稲妻》を使うと、コペックは望み通りの盤面に戻った。カマンゴン側を片付け、3/2飛行が被害を受けず攻撃する。

 しかし、カマンゴンも《台所の嫌がらせ屋》で3/2を用意し、ライフ・レースは次の攻撃でライフが10まで減ったあとも肉薄していた。だが、コペックは《謎めいた命令》の《放逐》モードで《聖遺の騎士》を弾き、支配を保っていた。2枚目の騎士が《マナ漏出》で落とされ序盤のリードを奪われると、フィリピン側が厳しい状況になり始めた。スタンダードの方も不利な状況だった。

 そこからは、《稲妻》ともう1体の《昆虫の逸脱者》の攻撃を受け、試合を落とした。

 その瞬間、全員の意識がスタンダードに向いた。いまや両チームの大会は3ゲーム目の接戦にかかっていた。

 ゾンビ側は墓地から戻る《墓所這い》と2枚の《ゲラルフの伝書使》で今一度序盤のリードを奪っていたが、《機を見た援軍》に加えて《天界の粛清》2枚がカンティリャーナをゲームへとなんとか戻した。

 それでも、《血の芸術家》1枚と《ファイレクシアの変形者》によるコピーで計算を狂わせ、カンティリャーナはライフ5点あたりから慎重に立ち回らなくてはならなくなった。

 両チームとも複雑な戦闘ステップに入念に策略を巡らせた。お互いに少なくとも4体のクリーチャーが戦場にあり、ライフ総量は12-5でゾンビ有利だった。ミスはもう許されない。ゾンビの攻撃でカンティリャーナのライフを4としたが、彼は《神への捧げ物》をトップし――《血の芸術家》のコピーを対象にして――好機を得た。ビューバックズ(本当の意味で、今ではポーランド・チームの全てだ)は《煙霧吐き》を生け贄に捧げ、フィリピン側がライフを得るのを(それは本当にフィリピン・チームが考えうる全てだった)防ぐため自ら《血の芸術家》を除去し、そして《秘密を掘り下げる者》デッキはあまりにも心許ない2点までライフを落とされた。


この複雑な決戦において、両者がひとつひとつの決断に没頭した。

 盤面を睨みながら、フィリピン側はできる限りライフ総量を保ちつつ、ダメージが最大化されるよう慎重にアタックを計画した。

 そしてビューバックズはゆっくりとカードをめくると、チームメイトの目が大きく開き、拳を握りしめるやいなや、このゲームを詰みとした。

 見つめる彼らを見返すは《迫撃鞘》。その2度の起動が、ポーランドを準決勝へと送った。

「本当に接戦だった」フィリピン選手の手を握り、コペックが言った。

「ああ、全ゲームとも接戦だったよ」カマンゴンが返した。


(Tr. Tetsuya Yabuki)

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