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トム・マーテルとリード・デュークのグルール・ドラフト

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 ギルド門侵犯のブースタードラフトで仕上げられるあらゆるデッキの中で、グルールと比肩しうるほどに直線的なのはせいぜいでボロスぐらいかもしれない。暗号で呪文を運ぶクリーチャーを慎重に選ばなければならないなんてことはない。クリーチャーの進化を最大にするためにクリーチャーを出す順番を正しく決める必要もない。強請の誘発を使ってゆっくりと命を削っていくようなこともしない。

 グルールは、ただ、殴る。

 ボクシングの達人は、よく想像されるように、単に単純で怒りにまかせた暴力を揮っているわけではない。ヘビー級のボクサーが一連のジャブや素早いフットワークを使って必殺の打撃の準備をするのと同じように、グルール一族もスピードとパワーを統合することができる。グルールの熱烈なサポーター、Team SCGのトム・マーテル/Tom Martellとリード・デューク/Reid Dukeに話を聞いた。彼らはリングを挟んで強力な対戦相手と対峙したときの血が沸き立つ感覚になじみがあるプレイヤーだが、彼らの道具箱には強力にして技量に富むグルールに活かせるテクニックが詰まっていた。

 現在はウェルター級だが、その技量と度胸でベルトを掴んだトム・マーテルはマッチに勝つために必要なのは何よりスピードだと言う。

「僕はとにかく殴りたいんだ」 彼は大決戦後の休憩中に語ってくれた。「デッキに2マナの、《旧き道の信奉者》とか《スカルグのギルド魔道士》とか《皮印のゴブリン》と言ったカードを詰め込みたい。軽い小技もたくさん欲しい。《皮印のゴブリン》が最適とは言えないね、タフネスが1しか上がらないから、生き残れるとは思えないし。それより、一目で強いとわかる《ゴーア族の暴行者》。あまり評価されてないけど《ザル=ターの豚》とか、あとは《殺戮角》も欲しいね。うちのグループの中でも、僕が一番《殺戮角》を高く評価してるよ。初手にピックしたとしてもそう異常だとは思わないね」



この類のカードはアグロ・グルール・デッキの根幹で、相手に序盤からプレッシャーをかけるのに重要だ。

 ベルトをかけて戦ったことがあればわかるとおり、スピードだけで耐久力がなければマッチに勝つことは出来ない。最初の数ラウンドは優勢を取れるかも知れないが、10ラウンド走り抜くことはできるものではない。つまり、上位ランキングに進むことはできないのだ。

 マーテルは言う。

「グルールはボロスよりうまくダメージを与えていくことができるんだ。大隊は本質的に脆いメカニズムで、攻撃時に一番弱いクリーチャーがいなくなることになるし、クリーチャーを毎回減らしながら攻撃していかないと大隊を維持できない。といって大隊なしだと、平均すると決して強いクリーチャーじゃない。グルールの場合、クリーチャーは大きいし、戦闘で勝てるようにメカニズムを使うことができる。ブロックされたら有利にできるグルールと、ブロックされると不利になるボロスの差さ」

 グルールであることの一番の利点は、いつも見くびられることかもしれない。

 マーテルは警告する。

「グルールを使っている人がいないなら、初手級のカードが後で流れてくるから大量に取れる。デッキがうまくできるかどうかを計るのは難しいかも知れないけどね。《殺戮角》や《強盗》、《くすぶり獣》あたりはいろんなデッキで使えるから、それに頼ってどうなるか計るのは危険だね。ほぼ《終止》な《地上の突撃》や、《ザル=ターの豚》は、なぜかテーブルを1周して戻ってくることもある。それを5手目か6手目で取れたなら、ぶっ込むべきだってことさ」

 ベルトを勝ち取るための最初の鍵は、それをイメージすることだ。

「1マナ域は無視して、2マナ域は7〜8枚欲しい。あとは《ザル=ターの豚》数枚と、他の小技があればいい。マナ・カーブはかなり低くするよ。あとはこの一撃を通して勝負を決められるようにする道具があれば言うことないね」

 マーテルはそう分析した。

 一方、ただパンチを通すことだけなら問題はないと言うのが、リード・デュークだ。彼はどんな防御でも止めようのない圧倒的な力で殴りつけることで知られる、現在のマジック界ヘビー級王者の1人だ。大グルール学校で戦闘を学んだ1人として、デュークはスピードや機動性の重要性を知らないわけではないが、一方で必殺の打撃がなければそんなものは意味がないと言う。彼の戦い方は長引く傾向にあり、彼は勝負が長引けば長引くほど一撃の威力が増すのだということを知っているのだ。

「俺はこのドラフトをシールドデッキのようなものだと考えている。どのカードもパワー・レベルの高いものを揃えたいのだ。他のやつばらは構築のようなものとして扱いたがり、ギルド・デッキを組もうとしている。つまり、連中のやり方だといくら強くても構想外になるカードが出てくることになる。俺は各種の始源体、《グルールの憤怒獣》、《巨大オサムシ》、といったカードの話をしているのだ。マナを安定させるのに不可欠なギルド門のようなカードも、連中は忌避する。誰も欲しがらないのであれば、俺がそれをかき集めて使いこなしてやる」

 デュークはそう語った。


普通は低マナ寄りのグルール・デッキにはこういった巨大クリーチャーは必要ないが、
リード・デュークは違った。《地上の突撃》のような軽いグルールのカードを優先するが、
後ではそれらの巨大クリーチャーをピックし、ギルド門を充分にとって大物をタッチできるようにしたのだ。

 他の戦士たちがそういった強力なカードを選ばない大きな理由の一つに、そのマナ・コストがある。ギルド門侵犯のリミテッドは非常に早いフォーマットなので、それらのカードを使う機会があるかどうか危ぶみ、単体の強さよりも全体としての強さやサポートを重視しているのだ。一方、デュークは柔道家や合気道の実践家のような戦略を採っている。まず守り、それから相手の力を逆用して、必殺の一撃を放つための力を溜める時間を稼ぐのだ。

 デュークは明かす。

「ピック序盤は、伝統的なグルール・デッキが求めるようなカードを俺も争っている。軽い除去呪文、効率の良いクリーチャー。《強盗》、《地上の突撃》、《正義の矢》、さらには《殺意の凝視》まで。《ザル=ターの豚》や《ゴーア族の暴行者》もそうだ。違うのはそこからだ」

 デュークの言う「違う」こと、それはつまり最後の決め手である。

「俺も、こういった強くて重いカードを序盤に取るわけではない。後でも回ってくるのだから、序盤は他の連中も欲しがるカードを取るために使うのだ。幸いにして、序盤が過ぎたころ、7手目か8手目あたりには大物を取りに行くことができる。これで他のグルール・デッキと、一部は取り合いになるとはいえ、共存することができる」

 デュークはそう明かすが、しかし、特に攻撃することに秀でているギルドにとって、防御をこなすのは難しいことである。

「《新緑の安息所》や《緑側の見張り》は2つの役目を果たすのだから、後半で取るのにいいカードだ。必要ならライフを得たり相打ちを取ったりと防御に回すこともできる一方で、マナ加速の役にも立つ。《旧き道の信奉者》や《スカルグのギルド魔道士》のような序盤のクリーチャーを使わないわけではないが、それらは他のデッキが序盤から仕掛けてくる攻撃をしのぐために入っている。《くすぶり獣》のような攻撃的デッキでのみ使うカードは、このデッキには必要ない」

 防御陣形を整えて、あとは時節を待って一撃を食らわすだけだ。イメージを高め、そして解き放つのだと。

「理想的には、軽い除去、それからマナ安定化や加速。その後でとどめのカードだ。慌てることはない。序盤の《強盗》を取り、ギルド門や魔鍵を揃え、そして後で流れてきたとどめになり得るカードをピックすれば良い」

 達人の至言であるが、グルールこそは、行動が何よりも雄弁に語るということを体現するギルドである。今度ギルド門侵犯のパックを開けるときは、2人の達人の戦略を試してみて欲しい。

 もちろん、殴ることは忘れずに。


(Tr. YONEMURA "Pao" Kaoru)

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