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インタビュー:藤田憲一 パート2


Tuesday, August 5, 2003
 

Translated by Yoshiya Shindo

サイドボード:君がグランプリを2勝したベテランなのにもかかわらず、欧米のプレイヤーが、例えば藤田剛史氏や森勝洋氏ほど君のことをよくわかっていないというのは、少なからず不満がある?

藤田:もう全然。そもそも、俺は名誉とかそういうもんにはまったく興味ないし。他が俺のことをどう考えてるかとか、そこらのヨーロッパのプレイヤーが俺のことを知ってるかとか、気にしたこともねえよ。俺がグランプリを2勝したからどうだってんだ? そいつはリミテッドだし、アジアの大会だし、欧米人はよくわかってないんだろうさ。知ってたとしたって、やつらはこう言うぜ。「なるほど、ドラフトのやり方は知ってるな。いいカードも取れたみたいだし、ツいてたね。大したもんじゃないよ」 そんなん知ったこっちゃねえよ。

サイドボード:日本ではもっと尊敬されてるということ?

藤田:そんな尊敬されてるとは思ってねえな。そもそも日本人が俺のことを気にする理由もわかんねえよ。

サイドボード:で、君は藤田剛史氏や森勝洋氏よりも長いことゲームをやってるわけだけだね。それなら彼らのレベルまで達しているべきだと思ったりしない?

藤田:いや。結局のところ、トップになるなり、優勝するなりしなきゃ、何にもならないだろう。同じことだよ。

サイドボード:つまり、君の感覚では、君が彼らのレベルまで認識されていない理由は、君がプロツアーのトップ8に残ったことが無いからってこと? それが世界のトッププレイヤーであると認識されるために必要不可欠であると?

藤田:まったくその通り。俺はグランプリを2勝したし、それは確かにいいことなんだろうけど、グランプリなんか世界中のどっかで毎週やってるもんだしな。大したことじゃねえし、実際グランプリ優勝者なんかゴロゴロしてんだろ。2勝したやつだってそこそこいるさ。競技プレイヤーとして認識されたかったら、プロツアーでトップ8に残るのは絶対だな。

サイドボード:それは現在の最大の目標なの? そうなると、2001年のプロツアー・ロサンゼルスで、1勝足りずに日本人初のトップ8に残り損ねたって言うのは、ずいぶんがっかりしたんじゃないの?

藤田:実際、俺は自分のことをプロプレイヤーだと思ってねえんだよ。確かに俺はトーナメントに出てるしプレイもするさ。平均的な感覚からすれば、プロツアーにも結構出てるし、プロプレイヤーとみなされるんだろうな。だけど、俺自身はプロだと思ってねえよ。俺よりもっと先にそう呼ばれる人物はいくらでもいるだろうに。実際、誰だって勝ちたいんだろうけど、俺は勝つために来てるわけじゃねえし。今日だって、そりゃ選手権抜けりゃ嬉しかったんだろうけど、おれはゲームしに来てるだけだしな。

サイドボード:ってことは、勝つことは、ゲームで楽しむことほど重要ではないと?

藤田:ゲームやって楽しむのが最優先だな。勝つのは2番目ってか、俺にとっちゃ高くねえし。日本選手権に招待されたってことは、仲間とつるんでまたマジックができる機会ができたってことで、そいつは素晴らしいことだわな。

サイドボード:その考え方で行けば、9位になっちゃったってことも大して気にはならないということ? 他の勝ちたがってるプレイヤーにしてみれば、そんな気にはならないと思うけど?

藤田:まあ、トップ8に残れりゃ気分が良かったんだろうけどな。そうなりゃもっと盛り上がってたんだろうけど、でもまあ、とりあえず酒の席のネタにはなったんじゃねえかな。「いやあ、やりゃトップ8にはなれたんだけど、そんなんくだらねえから、わざと9位になってやったんだよ!」とか。人生なんてそんなもんだ。

サイドボード:君はホビージャパンの雑誌で2つのコラムを持っていて、そのうち1つは初中級者向けだね。そういった、マジックのコミュニティを後押しする類の文章はどの程度重要だと思ってる? 君のコラムはその役に立っている?

藤田:俺自身がコラムに対して考えがあるってわけじゃないから、特に何にも考えてねえな。どっちかって言うと、ホビージャパンの編集のやつらから「こういったコラムのネタがあって、それにはフジケンさんが一番だと思うんですけど」とか言ってくるってのが近いな。実際、マジックを始めたばっかのやつがコラムを読んで、そのおかげで興味を持ってくれたり、ゲームによりはまってくれたりしたら、そりゃすごいことだろう。そうだってんなら嬉しいね。

サイドボード:君のもう一本のコラムは、ドラフトの状況で、読者からピックに関するメールをもらって、さらにプロがそこに割り込んでくるってヤツだよね。そのコラムをやっていての状況は? 英語版Sideboard Onlineで、それと同じコラムが最近始まったことに対しての感想は?

一番の障害は、例えばプロツアーに出たとして、誰とも話ができねえ事だ。

藤田:そいつは平行進化なんじゃねえの。英語版Sideboard Onlineの“Limited Information”が、実際に俺の「何を取る?」からネタを拾ったのかどうかは知らねえよ。実際の話、俺はそのアイデアは、麻雀雑誌の似たような記事からパクってきたもんだしな。「状況はこう、手牌はこう、どれを切る?」ってやつだよ。英語版Sideboard Onlineが俺のアイデアをパクったかどうかについて言うことは何もねえよ。俺だってどっか別のところからパクってきただけの話だしな。

サイドボード:ヨーロッパ勢はプロツアーの最初の頃から強豪だったし、南米勢も常に日本のはるか先を行ってるように思うんだけど、日本勢がそのレベルにたどり着くまでにこれだけ長くかかった理由はなんだと思う?

藤田:英語だよ。言葉の壁ってやつ。

サイドボード:それはつまり、欧米勢には90年代後半にThe Dojoがあって、日本勢には無かったってこと?

藤田:まあ、The Dojoはほとんどデッキリストだけだったし、ちょっと気合を入れりゃレポートや解説も読めたんだけどな。デッキリストは誰にだってわかるもんだし。一番の障害は、例えばプロツアーに出たとして、誰とも話ができねえ事だ。英語でコミュニケーションができなきゃ、それだけで遅れを取ることになるわけよ。向こうからこっちに話しかけてこない、こっちもびびって話しかけない、そうなればネットワークには入れないってことさ。

サイドボード:日本の最近の成功は、マジックのコミュニティに対して日本の距離が近くなったことにあると思う?

藤田:選択肢が増えれば、それだけ勝つ確率も上がるわけだろう。それは何のゲームだって同じだよ。一番多く情報を抱えてるやつが一番優位な位置にいるってのは、そりゃ何の話だって一緒さ。もちろん、プロツアーで話したりつるんでたりってのは重要なんだろうが、それだけじゃなくて、日本人同士の間で情報の共有を始めたってのがデカいんだろうな。外国のプレイヤーとも情報を交換してるし、雑誌やウェブ記事の翻訳も増えたし。情報の共有量は爆発的に増えてるよ。

サイドボード:ここまで来るのにこれだけ長い時間がかかった理由は?

藤田:俺たちの結束が全然無かったってことだろう。一緒にやっていって、自分らの中で情報交換することすら、そこに行くまでずいぶんかかったしな。自分らの間ですらコミュニケーション取れてねえってのに、アメリカだのスウェーデンだのってわけにいかねえじゃん。俺たちが自分らで情報を共有しあって、そっからの価値を把握するようになって、ようやっと外に手を伸ばし始めたわけだからな。

サイドボード:その結束が無かったっていうのは、文化的な問題から?

藤田:日本人が内側にこもりがちだって言うのはわからないでもないな。確かに歴史上、鎖国してたっていう事実はあるしな。そういう意向は確かにあるかもしれないさ。最初は自分が住んでる地元から始まって、その次がその地方ってことになるんだろう。大分類で言えば関東対関西って図式になるな。関東は東京を中心とした東側のエリアで、関西は大阪を中心とした西のエリアだ。そこのやつらは、関東なり関西なりの上位になったところで満足しちまう。反対側とコミュニケーションを取ろうなんてしないのさ。だから、そいつは確かに障害だったな。互いのグループが関係を持ち合うまで、ずいぶんかかったよ。

サイドボード:現在、自分が見るかぎりは、その傾向もだいぶ変わったみたいだね。日本人は「ここだけの最高のプレイヤーじゃなくて、世界最高のプレイヤーになりたいんだ」って思ってるみたいだよ。それが変わったのはどのタイミングで、その理由はなんだと思う?

藤田:いつだったかなんて覚えちゃいねえけど、基本的には俺らの持ってる違いってのをいっぺん脇にのけて、全体を一つのコミュニティと考えるようになってからだろう。石田格はずいぶんと長いことプロプレイヤーをやってて、最初はそういったやつらしかいねえ細い流れだったさ。それがだんだん少しずつ増えてきて、最後には本流となったってことだ。一人二人が海外に行ってそこそこやって、たくさんの情報とテクニックを抱えて帰ってくるわけだ。そんで次は、もう少し多くの人間が外国まで出かけることになんだろ。その勢いは今でも続いてて、出かけてったプレイヤーが海外で手に入れた情報を共有しはじめたことで、日本全体のコミュニティを統合する役割の一端を担ってるのさ。そのおかげで全体のプレイレベルもちっとは上がったし、情報を交換することの価値もわかってきたんだわ。

サイドボード:その結果、目標が変わったと?

藤田:そういうこと。日本人が団結できたところで、みんなは「ふむ、なるほど、外にはもっと大きな世界があるんだなあ」とか言い出したのさ。まず石田が海外に行っていい成績を残し、次に中村が行って有名になり、インビテーショナルにも参加したろ。このおかげで、日本人はこのゲームをプレイしている他の国にも興味を持ち出したわけよ。それがあって、「俺らの仲間がインビテーショナルに行ったり、プロツアーに参加したりしてるんだから、俺らだって行けるんじゃないか」とかいうことになったんだな。その結果さらに興味が出てきて、勢いもどんどん増し続けていた。そこに藤田剛史のトップ8入りが来て、こいつが決定的な追い風になって、その後も勢いは持続したわけよ。来年は、おそらく日本人がプロツアーでもっとコンスタントにいい成績を残せるんじゃないかと思うぜ。

サイドボード:長い間プレイしている人物として、現状の日本のマジックについてどう思ってる?

藤田:そいつは面倒くせえ質問だな。現状の日本のマジックについてどう思うか? まあ、8年前よりははるかに良くなってるし、2年前と比べたってそうだろうな。最近は、プレイヤー人口自身は少なくなってて、昔ほど多くのやつらが遊んでるわけじゃねえさ。だけど、藤田(剛史)を初めとして、トップ8に入るやつらも何人か出たしな。横浜じゃプレイヤーを2人も送り込んだんだから、ここまで来たことを考えりゃいい気分だわな。そいつは長くて厳しい道のりだったけど、オレたちはやってのけたんだよ。もう、日本人がプロツアーのトップ8に来ることは珍しいことじゃねえさ。いいことだね。

サイドボード:今後、日本のマジックが延びていくためには、何が必要?

藤田:俺から言うことじゃねえよ。それはホビージャパンなりウィザーズなりの領分だからな。プレイヤーにできることなんかたかが知れてんだろ。必要なことと言えば、ショップは単に品物を棚に並べておくだけで済ませてる場合じゃないってことかな。やつらは売らなくちゃいけねえんだから。やつらだってゲームに興味があるやつらのコミュニティを作る必要があるだろう。

サイドボード:日本以外のほとんどのプレイヤーは、ホビージャパンとウィザーズの関係を知らなくて、成長に関してそこに触れられたのは初めてだと思うんだけど、実際にそこがやらなくちゃいけないことはなんだと思う?

藤田:たぶん、ホビージャパンなりウィザーズなりが、プレイヤーの数を増やしてマジックをデカくしようって考えてんなら、パックの値段を今より下げなきゃいけねえだろうな。実際、今年500円から420円に値下げがあったさ。だけど、もっと下げなきゃダメだろう。現在の通貨単位で言えば、420円はだいたい4ドルぐらいになるわけだ。ほとんどの店じゃその値段で売ってるよ。インターネットを使えば、みんなはアメリカから直接もっと安く輸入することはできるけど、そいつは日本の代理店のポケットには入らないしな。問題点はそこだな。

サイドボード:日本のマジックの将来はどうなると思う?

藤田:まあ、来年の日本選手権までに、一人ぐらいプロツアーの優勝者が出れば最高だろうな。決勝までは2人行ったんで、次はチャンピオンだろう。来年起こることを願うね。

サイドボード:君の将来は?

藤田:何も変わんねえよ。今後も楽しんでプレイするだけだしな。楽しんだ上で、勝てりゃ最高だろうな。



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