2007年度プロツアー新人王に輝いたのは、神奈川県からやってきた18歳の高校生だった。
渡辺 「ちょうどこの時期、去年は全力でThe Finals予選のメタゲームを考えてましたね。その時からは...まるで考えられません」
一年ほど前、関東圏の草の根の大会ではやたらと強い高校生がいるともっぱらの噂だった。そして、 The Finals 2006準優勝という活躍によって知られることになったその高校生こそ、渡辺だった。
渡辺 「ルーキーとかプロツアーとか、それまではまったく意識していませんでした。でも、京都で権利がいただけて、それがすべてのはじまりでしたね」
グランプリ京都2007
日本が、世界が、渡辺を知ったのがグランプリ京都。当時、発売されたばかりの最新セットであった「次元の混乱」から《硫黄の精霊/Sulfur Elemental》をメインボードに投入した新しいイゼットロンを仕上げ、渡辺は見事に優勝を飾ったのだ。そして、プロツアー参加権を得た彼は、地元神奈川で行われるプロツアー横浜に出場することになった。
初めて体験する競技マジックの頂点の舞台で、渡辺は初日落ちという結果に終わってしまうが、同時にハイレベルな競技の面白さに魅せられていった。しかし、いかんせん渡辺は次のプロツアーに参加する権利を獲得できていなかった。
渡辺 「そんなとき、ナカシュー(中村 修平)さんが声をかけてくれたんです。で、ためしに組んでみて、チームとしてうまく機能できたような手ごたえがありました。それで、ナカシューさんがプロポイントで僕をサンディエゴまで連れて行ってくれたんです」
ここサンディエゴで中村/渡辺ペアは22位に入賞している。
ただ、このイベントで優勝した”Sliver Kids”コンビが新人王有資格者であったため、渡辺の大きなリードのもとに進んでいたタイトル争いは一気に混戦模様の体裁となった。
渡辺 「次のPTバレンシアでは、僕は洪水に助けられクチですね。実は直前まで青黒のアドバンテージカード満載デッキを調整していたんですが、土壇場でこれはダメだってことになってしまいまして...。それで、セプターチャントに乗り換えたものの、時間切れで初日がきてしまったんです...」
構築フォーマットの大会の前夜に、結局デッキが仕上がらない。
遠い昔に筆者にも(おそらく読者の皆さんの多くも)経験がある悪夢のような出来事が、よりによって遥かスペインまで遠征してきた渡辺を襲う。そして、足取りも重く会場へと向かった渡辺を待っていたのが、「洪水により初日中止」という一報だった。
これによって渡辺たちはセプターチャントをじっくりと調整するための24時間の猶予を手にいれ、それが功を奏して、渡辺はみごとな連続マネーフィニッシュをプロツアーで記録することになったのだ。
かくして、堅実にプロツアーでプロポイントを重ねてきた渡辺が、ライバルを振り切って見事に新人王受賞という快挙を成し遂げたのだ。
渡辺 「来年の目標は、まずはすべてのプロツアーに参加することです。その上で、まわれそうなグランプリはできる限り遠征して、レベル5あたりを是非狙ってみたいと思います」