現・日本王者が、再び頂点に挑む。
勝つ事よりも、連覇する事の方が難しい。様々なスポーツでよく言われる台詞だが、それは知的スポーツであるMTGであっても何ら変わりは無い。継続的な活躍がいかに難しい世界であるかは、このゲームのプレイヤーであれば想像に難くないはずだ。
それを成し得ようとしている、生きた英雄がベスト8を。いや、再び栄光を手にする為に、戦い続ける権利を賭けて決戦に挑む。藤田のデッキは青コントロールだ。
挑戦者の三原は、まさに挑戦者の名に相応しい。
3連敗でスタートした日本選手権。普通ならば心が折れ、そこから這い上がるなど夢物語。そう考えるのが普通のプレイヤーだ。しかし、三原は違った。1敗も、Opp%的には1分けすら許されない極限状態を、ここまで耐え抜いて見せた。
10連勝男、三原。
3連敗したスタンダードの面影は、すでに、無い。その手には、現在3連勝中の謹製青緑トロンが握られているのだから。
今大会最大の台風の目は、今まさにベスト8の椅子まで巻き込もうとしている。
Game 1
三原の《森の占術/Sylvan Scrying》の返しに、フルタップで《尖塔のゴーレム/Spire Golem》をプレイしたのがお互いのファーストコンタクト。先手の利を生かし、藤田がダメージで先行し、カウンターを構えつつすぐに2枚目のゴーレムを送り込む。
三原もウルザ地形を揃えた上で《すべてを護るもの、母聖樹/Boseiju, Who Shelters All》がスタンバイOKであり、藤田もこれにはさすがに苦い顔。しかし、三原は手札があまり芳しくない様子で、《トリスケリオン/Triskelion》をカウンターされてそのままターンを返す。
藤田のアタックで、三原のライフは早くも残り10。《ダークスティールの巨像/Darksteel Colossus》を《すべてを護るもの、母聖樹/Boseiju, Who Shelters All》からのカウンターをうかがわせた上で通そうとするが、《最後の言葉/Last Word》が文字通り、このターン最後の言葉となった。
ついに、藤田の《隠れ石/Stalking Stones》が動き出す。
《刈り取りと種まき/Reap and Sow》《ヴィリジアンのシャーマン/Viridian Shaman》などで抗するも、《歯とかぎ爪/Tooth and Claw》級の大技が決まらなければどうしようもない。
《森の占術/Sylvan Scrying》で、再びライブラリーをシャッフルし、新たな可能性に手を伸ばす三原。シャッフルするその目は、じっと藤田の視線を伺っている。見えた可能性は―――――
《永遠の証人/Eternal Witness》
今の三原に必要なのは、証よりも、より確かな力だった。
藤田 1-0 三原
Game 2
1本目を先取して、ハッキリと見えてきた連覇への道筋。2ターン目には《呪師の弟子/Jushi Apprentice》を通し、手札にカウンターも十分。磐石に見えた。
しかし、そこは10連勝男、三原。ただで終わるわけが無い。
《落葉の道三/Dosan the Falling Leaf》を力強く通し、《忘却石/Oblivion Stone》を《ヴィリジアンのシャーマン/Viridian Shaman》で叩き割ると、ビートダウンを開始。そのままウルザ地形を揃え、《刈り取りと種まき/Reap and Sow》で更なる《ウルザの塔/Urza's Tower》を加えて《トリスケリオン/Triskelion》を呼び出せば、カウンターだらけの藤田のハンドではどうにもならなかったのだ。
藤田 1-1 三原
Game 3
序盤から、藤田のカウンターがうなりを上げる。
《団結のタリスマン/Talisman of Unity》→《無効/Annul》
《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》→《無効/Annul》
《桜族の長老/Sakura-Tribe Elder》→《マナ漏出/Mana Leak》
《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》→《巻き直し/Rewind》
《森の占術/Sylvan Scrying》→《巻き直し/Rewind》
そして《知識の渇望/Thirst for Knowledge》から《呪師の弟子/Jushi Apprentice》。やり過ぎまである。まさに圧倒的な藤田。
しかし、そこは10連勝男再び。
その豪腕でナチュラルにウルザ地形を揃えれば、《隔離するタイタン/Sundering Titan》《忘却石/Oblivion Stone》《真髄の針/Pithing Needle》と通し、再び《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》をその手に加え、後は止まない行進をするのみ。
10連勝男改め11連勝男の誕生は、まさに電車道でベスト8を手繰り寄せた!
三原は、このまま14連勝を目指した戦いを迎えるのだ。
――――その瞬間、現・日本王者、藤田剛史の夏が終わった。
しかし、連覇を目指したその王者の戦いぶりは、見るもの全てに風を感じさせたのではなかろうか。「負けて悔しがる」という、当たり前の感情を忘れない勝負の男は、確かな存在感と強さを見せつけて、2日間にわたる壮絶な戦いを駆け抜けた。
朝日が昇るのと共に。
新たなる王の誕生を、皆と共に見届けよう。
藤田 1-2 三原
Final Result 三原 Wins!