ラウンド 14: 彌永 淳也 vs. 野瀬 恒二

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野瀬 恒二

長かった日本選手権予選ラウンドも、この14回戦で泣いても笑っても最後。

多くのプレイヤーがスタンディングの張り出しに駆け寄り、自分の位置と次のデュエルの勝敗を計算する。今年の日本選手権は31点がギリギリの足きりラインなので、その前後のプレイヤー達は大変だ。

さて、フィーチャリングテーブルには32点の彌永 淳也(東京)と30点の野瀬 恒ニ(愛知)が座る。彌永は負けても確定の安定コース。一方の野瀬は負けるとかなり危ないギリギリラインだ。IDで31点にして、あとはOp%勝負に持ち込む手段もあったが、野瀬はそれを拒否した。

その野瀬の強い意志がゲームにどう影響するか。

デックは共に今回の最大勢力の一つである赤単だが、共に土地破壊をメインから落とした同系対策を強めたタイプ。

野瀬は、火力を増やしクリーチャー対策を強め、彌永は逆にメインから《煮えたぎる歌/Seething Song》と《弧炎撒き/Arc-Slogger》を投入して、対策されにくいクリーチャーを増やした。

今回もっとも使用者の多かった赤単のソリューションは一体どっちか。

Game 1

先攻は彌永、マリガンは双方無し。

彌永は順調に《かまどの神/Hearth Kami》《罰する者、ゾーズー/Zo-Zu the Punisher》とクリーチャーを展開していくが、野瀬の《静電気の稲妻/Electrostatic Bolt》《罰する者、ゾーズー/Zo-Zu the Punisher》のレジェンドルールによる消滅と丁寧に処理される。

伝家の宝刀である《弧炎撒き/Arc-Slogger》も、刻印無しの《金属モックス/Chrome Mox》を生贄にした《爆片破/Shrapnel Blast》の前にむなしく散っていく。生き残ったのは《ヴァルショクの魔術師/Vulshok Sorcerer》ただ一体だ。

やはり、クリーチャーシフトではなく除去にシフトした方が強いのだろうか?

しかし、この生き残った《ヴァルショクの魔術師/Vulshok Sorcerer》が曲者だった。今回の日本選手権の第三勢力であるVirigian Ratsによく効くこのカードは、また、優秀な同系対策カードでもあるのだ。

続くターンに《尖塔の源獣/Genju of the Spires》を引いて、《山/Mountain》に付けて即アタック。野瀬の場には《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》が居たのだが、どうにも《ヴァルショクの魔術師/Vulshok Sorcerer》が邪魔でブロックが出来ずにスルーするしかない。1ターン目から野瀬の場に出ていた《尖塔の源獣/Genju of the Spires》も同様にただの置物状態だ。

続くターンに、ようやく念願の《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》2枚目を手に入れた野瀬は何とかブロックできる体制を作り上げる。

彌永が《尖塔の源獣/Genju of the Spires》をクリーチャー化してアタック
  ↓
野瀬の《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》がクリーチャー化
  ↓
彌永が《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》に《マグマの噴流/Magma Jet
  ↓
野瀬の《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》はマナを出して死亡
そのマナで《尖塔の源獣/Genju of the Spires》をクリーチャー化
  ↓
《尖塔の源獣/Genju of the Spires》に《ヴァルショクの魔術師/Vulshok Sorcerer》が1点
  ↓
《尖塔の源獣/Genju of the Spires》がマナを出して死亡 そのマナで《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》の2枚目がクリーチャー化
  ↓
《ちらつき蛾の生息地/Blinkmoth Nexus》が《尖塔の源獣/Genju of the Spires》をブロック

そして、お互いがマナを使い切った所で、彌永が山をセットして《尖塔の源獣/Genju of the Spires》をキャスト。この大騒ぎによって、野瀬が失ったランドは3枚。一方で彌永は1枚。
 
この圧倒的な差のあるリソース交換の後、野瀬はドローをして静かに投了した。

彌永 1-0 野瀬

Game 2

サイドボード後のシャッフル中に彌永は何故か考え事をしていたが、結局そのままシャッフルを続ける。

先手は野瀬。マリガンはお互いに無い。

3ターン目に《激憤の本殿/Honden of Infinite Rage》を置いた野瀬に対して、彌永は土地が止まってしまう。実は手の中に《金属モックス/Chrome Mox》が2枚あったのだが、《金属モックス/Chrome Mox》を出してもキャストしたいカードも無く、相手のアーティファクト破壊の格好の的になってしまうのでじっと我慢する。何せ土地さえ引けば手の中に控えている《弧炎撒き/Arc-Slogger》が火をふくのだ。

そして、今度は野瀬の土地が止まる。そのタイミングを見計らったかのように、彌永は土地を引き、《金属モックス/Chrome Mox》2枚から《弧炎撒き/Arc-Slogger》が登場する。この時点で彌永の手札は1枚になるが、野瀬のデックで《弧炎撒き/Arc-Slogger》に対処する手段は限られている。ましてや土地が三枚で止まっていればなおさらだ。

しかし、野瀬にもIDを蹴った意地がある。アップキープに《激憤の本殿/Honden of Infinite Rage》の1点を《弧炎撒き/Arc-Slogger》に。そしてドロー前に《マグマの噴流/Magma Jet》を撃って占術。ドローするカードをそのままめくりながら山をタップすると…そこには《静電気の稲妻/Electrostatic Bolt》が。こうなると、恒久的でかつ破壊できないダメージソースである《激憤の本殿/Honden of Infinite Rage》がある分僅かに野瀬が有利だ。

などと思う暇も無く、彌永のライブラリートップから《弧炎撒き/Arc-Slogger》の2体目が登場。これは野瀬も終わったか…

などと思う暇も無く、野瀬は《静電気の稲妻/Electrostatic Bolt》と《火山の鎚/Volcanic Hammer》の合わせ業で《弧炎撒き/Arc-Slogger》を除去除去除去。

あぁ、もう、なにかを思う暇も無いから何か考えるのもめんどくさいなぁとか思ってしまうくらい目まぐるしい攻防。一見同じデックに見えても、実は同系対策として逆の方向へ進化したデック。お互いがお互いの脅威に対してごっつんこだ。

さて、そんな話はおいといてデュエルへと目を向けよう。

一体目の《弧炎撒き/Arc-Slogger》を場に出した時に残されていた彌永の最後の1枚、それは《尖塔の源獣/Genju of the Spires》だった。

ブロッカーとして野瀬がキャストした《かまどの神/Hearth Kami》は彌永のライブラリーのトップから落ちてきた《ヴァルショクの魔術師/Vulshok Sorcerer》に打ち落とされ、なんとかブロッカーに《炎歩スリス/Slith Firewalker》を呼んでみれば、今度はトップから《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》がポロリ。

絶え間なく打ち出され続ける彌永の脅威の前に、野瀬の対応策は枯渇した。

彌永 淳也

彌永 2-0 野瀬

終わった後に彌永に聞いてみた。

――シャッフルの時に何を考えていたのですか?

彌永:あー、えっと、赤がベスト8に入ってくれた方がメタ的には有利なんでトスしようかなぁ…なんて。さすがにありえないですけどね。

この同系対決への強烈な自信が彌永を初日から独走させたのだろう。

努力に裏打ちされた強い意志、それがマジックで勝ち抜く為にもっとも重要なものなのだ。

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