Sunday, Aug. 20: 8:20 p.m. - The Top 8 Player Profiles
by Event Coverage Staff
■Julien Nuijten(ジュリエン・ナウテン)
お名前、ご年齢、ご職業、在住を教えてください
17歳、学生、オランダ
主なマジックでの戦績を教えてください
2004世界選手権優勝&Rookie of the Year、グランプリTop 8 5回(うち2回優勝)
初日シールドデッキの戦績、そのデッキで活躍したカードを教えてください
4-1(+Bye 3)、《グルールのギルド魔道士/Gruul Guildmage》!…それと、たぶん《護民官の道探し/Civic Wayfinder》
二日目の二回のドラフトで使用したデッキの内容について、また、それぞれの戦績を教えてください
1回目:3-0、白緑 2回目:2-1、緑タッチ白
コールドスナップのドラフトにおいて、あなたはどのようなアーキタイプを狙っていますか?
緑! 何が何でも緑。
コールドスナップのリミテッドで最強だと思うカードをそれぞれ挙げてください
コモン:《ロノムの大男/Ronom Hulk》、《ボリアルのドルイド/Boreal Druid》 アンコモン:《寸法変更/Resize》、《ヨツンの梟匠/Jotun Owl Keeper》、《忍び寄るイエティ/Stalking Yeti》 レア:《アダーカーの戦乙女/Adarkar Valkyrie》
今日のドラフトにおいて、今現在もっとも「安く取れる」強力なカードは何でしたか?
《キイェルドーのときの声/Kjeldoran War Cry》
■中村 修平(なかむら しゅうへい)
年齢、職業、在住都道府県を教えてください
24歳、大阪府
主なマジックでの戦績を教えてください
2005PTコロンバス準優勝、2006GPセントルイス優勝、2002Finals優勝など
初日シールドデッキの戦績、そのデッキで活躍したカードを教えてください
3-2(+Bye 3)、《絶望の天使/Angel of Despair》
二日目の二回のドラフトで使用したデッキの内容について、また、それぞれの戦績を教えてください
1回目:3-0、青黒《吹雪の死霊/Blizzard Specter》2枚 2回目:2-0-1、白赤「今までの人生で最高のデッキ」
コールドスナップのドラフトにおいて、あなたはどのようなアーキタイプを狙っていますか?
人気薄の色
コールドスナップのリミテッドで最強だと思うカードをそれぞれ挙げてください
コモン:《雪崩し/Skred》 アンコモン:《忍び寄るイエティ/Stalking Yeti》 レア:《霧氷鱗のドラゴン/Rimescale Dragon》
今日のドラフトにおいて、今現在もっとも「安く取れる」強力なカードは何でしたか?
《記憶への消失/Vanish into Memory》
■Andre Coimbra(アンドレ・コインブラ)
お名前、ご年齢、ご職業、在住を教えてください
20歳、学生、ポルトガル
主なマジックでの戦績を教えてください
2005世界選手権Top8、2006GPマルモTop8、ポルトガル選手権Top8を2回
初日シールドデッキの戦績、そのデッキで活躍したカードを教えてください
3-2(+Bye 3)、《シミックの空呑み/Simic Sky Swallower》
二日目の二回のドラフトで使用したデッキの内容について、また、それぞれの戦績を教えてください
1回目:3-0、黒緑ファッティデッキ 2回目:2-0-1、黒緑除去いっぱいデッキ
コールドスナップのドラフトにおいて、あなたはどのようなアーキタイプを狙っていますか?
黒緑で、除去とファッティを集める
コールドスナップのリミテッドで最強だと思うカードをそれぞれ挙げてください
コモン:《ロノムの大男/Ronom Hulk》 アンコモン:《極北ニショーバ/Arctic Nishoba》 レア:《霧氷鱗のドラゴン/Rimescale Dragon》
今日のドラフトにおいて、今現在もっとも「安く取れる」強力なカードは何でしたか?
《灰の殉教者/Martyr of Ashes》
■鈴木 貴大(すずき たかひろ)
年齢、職業、在住都道府県を教えてください
18歳、議員見習い、東京
主なマジックでの戦績を教えてください
2006PTチャールストン8位
初日シールドデッキの戦績、そのデッキで活躍したカードを教えてください
3-1-1(+Bye 3)、《炎樹族のシャーマン/Burning-Tree Shaman》と《制圧の輝き/Glare of Subdual》…を両方置いて負け。
二日目の二回のドラフトで使用したデッキの内容について、また、それぞれの戦績を教えてください
1回目:3-0、青黒で《クロヴの囁き/Krovikan Whispers》2枚 2回目:3-0、赤黒緑で《冷鉄の心臓/Coldsteel Heart》3枚と《霧氷鱗のドラゴン/Rimescale Dragon》
コールドスナップのドラフトにおいて、あなたはどのようなアーキタイプを狙っていますか?
「うねるマスター」
コールドスナップのリミテッドで最強だと思うカードをそれぞれ挙げてください
コモン:《島/Island》はヤバい。土地がダメなら、《ゾンビの犬ぞり乗り/Zombie Musher》とか アンコモン:《クロヴの囁き/Krovikan Whispers》 レア:《霧氷鱗のドラゴン/Rimescale Dragon》
今日のドラフトにおいて、今現在もっとも「安く取れる」強力なカードは何でしたか?
《肉体の饗宴/Feast of Flesh》
■Basam Tabet(バサム・タベット)
年齢、職業、在住都道府県を教えてください
26歳、バーのマネージャー、イングランド
主なマジックでの戦績を教えてください
「Byeなしでここまで来た、このグランプリTop8が主な戦績です!」
初日シールドデッキの戦績、そのデッキで活躍したカードを教えてください
7-1(Byeなし)、《炎の一斉攻撃/Flame Fusillade》
二日目の二回のドラフトで使用したデッキの内容について、また、それぞれの戦績を教えてください
1回目:1-1-1、緑白《うねる歩哨/Surging Sentinels》 2回目:3-0、白単《酷寒の枷/Gelid Shackles》いっぱい
コールドスナップのドラフトにおいて、あなたはどのようなアーキタイプを狙っていますか?
コールドスナップはシカトでラヴニカばっかりやってる感じです
コールドスナップのリミテッドで最強だと思うカードをそれぞれ挙げてください
コモン:《キイェルドーのときの声/Kjeldoran War Cry》・《うねる歩哨/Surging Sentinels》 アンコモン:《ロノムの口/Mouth of Ronom》 レア:《アダーカーの戦乙女/Adarkar Valkyrie》
今日のドラフトにおいて、今現在もっとも「安く取れる」強力なカードは何でしたか?
《うねる歩哨/Surging Sentinels》
■志村 一郎(しむら いちろう)
年齢、職業、在住都道府県を教えてください
23歳、学生、茨城
主なマジックでの戦績を教えてください
2004GP仙台優勝、2004PTシアトル3位、2005世界選手権国別対抗優勝
初日シールドデッキの戦績、そのデッキで活躍したカードを教えてください
3-1-1(+Bye 3)、《瓶詰めの回廊/Bottled Cloister》
二日目の二回のドラフトで使用したデッキの内容について、また、それぞれの戦績を教えてください
1回目:3-0、緑赤、《ボリアルのケンタウルス/Boreal Centaur》4枚 2回目:2-1、青黒、《ゾンビの犬ぞり乗り/Zombie Musher》6枚
コールドスナップのドラフトにおいて、あなたはどのようなアーキタイプを狙っていますか?
上家とかぶっていない色。
コールドスナップのリミテッドで最強だと思うカードをそれぞれ挙げてください
コモン:《ボリアルのケンタウルス/Boreal Centaur》 アンコモン:《忍び寄るイエティ/Stalking Yeti》 レア:《霧氷鱗のドラゴン/Rimescale Dragon》
今日のドラフトにおいて、今現在もっとも「安く取れる」強力なカードは何でしたか?
《ロノムの海蛇/Ronom Serpent》
■野中 健太郎(のなか けんたろう)
年齢、職業、在住都道府県を教えてください
21歳、フリーター、大阪府
主なマジックでの戦績を教えてください
2006PTチャールストン8位、2005GP松山Top4
初日シールドデッキの戦績、そのデッキで活躍したカードを教えてください
5-0(+Bye 3)、《軍の要塞、サンホーム/Sunhome, Fortress of the Legion》
二日目の二回のドラフトで使用したデッキの内容について、また、それぞれの戦績を教えてください
1回目:1-1-1、黒緑、《呼び声の鳴動/Sound the Call》5枚&《肉体の饗宴/Feast of Flesh》4枚 2回目:2-1、白緑、《雄オーロクス/Bull Aurochs》7枚&《突風の漂い/Squall Drifter》4枚
コールドスナップのドラフトにおいて、あなたはどのようなアーキタイプを狙っていますか?
白青のフライングテンポ
コールドスナップのリミテッドで最強だと思うカードをそれぞれ挙げてください
コモン:《雪崩し/Skred》 アンコモン:《忍び寄るイエティ/Stalking Yeti》 レア:《霧氷鱗のドラゴン/Rimescale Dragon》
今日のドラフトにおいて、今現在もっとも「安く取れる」強力なカードは何でしたか?
《肉体の饗宴/Feast of Flesh》
■脇坂 祐介(わきさか ゆうすけ)
年齢、職業、在住都道府県を教えてください
21歳、フリーター、愛媛
主なマジックでの戦績を教えてください
特になし
初日シールドデッキの戦績、そのデッキで活躍したカードを教えてください
5-0(+Bye 3)、《極楽鳥/Birds of Paradise》
二日目の二回のドラフトで使用したデッキの内容について、また、それぞれの戦績を教えてください
1回目:3-0、赤白 2回目:0-3、赤白
コールドスナップのドラフトにおいて、あなたはどのようなアーキタイプを狙っていますか?
対抗色のデッキ
コールドスナップのリミテッドで最強だと思うカードをそれぞれ挙げてください
コモン:《雪崩し/Skred》 アンコモン:《忍び寄るイエティ/Stalking Yeti》 レア:《霧氷鱗のドラゴン/Rimescale Dragon》
今日のドラフトにおいて、今現在もっとも「安く取れる」強力なカードは何でしたか?
《肉体の饗宴/Feast of Flesh》
Sunday, Aug. 20: 8:33 p.m. - Decklists: The Top 8 Decks
by Event Coverage Staff
Sunday, Aug. 20: 9:52 p.m. - 王者のドラフト - Playoff 中村 修平
by Yukio Kozakai
絶対に負けられない崖っぷち、というテーマで第1ドラフトを追いかけた中村 修平(大阪)。見事にスイスラウンドを5-0-1で駆け抜け、決勝ラウンドへと駒を進めた。第2ドラフトでは、その王者のピックを記録出来なかったのが残念でならないが、彼は最後に取材の機会を与えてくれた。
なにしろ、この環境の第一人者だ。セントルイスから続く連勝を、果たしてどこまで続けていくのだろうか。コールドスナップのドラフトというフィールドでは、このレベル6魔法使いは圧倒的である。
さっそく、彼のドラフトを追ってみよう。
■1st Pack : Coldsnap
《ファイレクシアの鉄足/Phyrexian Ironfoot》
《冠雪の沼/Snow-Covered Swamp》
《ゾンビの犬ぞり乗り/Zombie Musher》
思い描くのは、第1ドラフトで青黒だろう。地上を止める事が命題の青黒にとって、この《ファイレクシアの鉄足/Phyrexian Ironfoot》は最高の「防衛」クリーチャーだ。そして、必須パーツである氷雪土地とアタッカー。最初の3手としては完璧だろう。
《灰の殉教者/Martyr of Ashes》
《冠雪の島/Snow-Covered Island》
《ルーンのほつれ/Rune Snag》
《冠雪の島/Snow-Covered Island》
《ロノムの海蛇/Ronom Serpent》
《無残な収穫/Grim Harvest》
《うねる霊気/Surging Ather》
《ロノムの海蛇/Ronom Serpent》
《冠雪の平地/Snow-Covered Plains》
青黒をやるには、最低7枚の氷雪地形が必要というのが定説だが、それで言うとかなり良いペースで取れているのではないだろうか。地上を落ち着かせ、ドラフトではかなり高確率で殴りに行ける、まだまだ評価の低い《ロノムの海蛇/Ronom Serpent》が、この順目で取れているのも大きい。
《ロノムの一角獣/Ronom Unicorn》
《霧氷殻の死者/Rimebound Dead》
■2nd Pack : Coldsnap
《クロヴの腐敗/Krovikan Rot》
《霧氷風の特務魔道士/Rimewind Taskmage》
1パック目で足りなかった除去をしっかりと確保。2手目で迷わずタッパーへと向かえるのも、ここまでで大量の氷雪地形をピック出来ているからだろう。
《霜の猛禽/Frost Raptor》
《ルーンのほつれ/Rune Snag》
《酷寒の枷/Gelid Shackles》
《クロヴの腐敗/Krovikan Rot》
《クロヴの霧/Krovikan Mist》
《ルーンのほつれ/Rune Snag》
《クロヴの霧/Krovikan Mist》
《骨に染む凍え/Chill to the Bone》
飛行クリーチャーと、白ながらも除去カード。どこまで1パック目でも白いカードを少々ピックしており、果たしてタッチをするのか。どういった判断を下すのだろうか。
《記憶への消失/Vanish into Memory》
《うねる霊気/Surging Ather》
《ドレルナック/Drelnoch》
■3rd Pack : Coldsnap
《冠雪の沼/Snow-Covered Swamp》
《占術の岩床/Scrying Sheets》
本人のBlogで「初手で氷雪地形はアリ」という内容のエントリーがあったが、まさに有限実行である。しかも、2手目にはドローエンジン。氷雪パーマネント18枚という中村のデッキにとって、最高のサポートカードだ。
《トレッサーホーンの空騎士/Tresserhorn Skyknight》
《霧氷風の使い手、ハイダー/Heidar, Rimewind Master》
これでデッキが締まった。サイズ的な問題と、アタッカー不足、少し心もとない除去。これらを一気に解決するバウンス君が4手目で取れたのはこの上なく大きい。
《霧氷風の特務魔道士/Rimewind Taskmage》
そして、追加のタッパーを確保。これで守り勝つプランがだいぶ見えてきた。
《臆病なグール/Gutless Ghoul》
《冠雪の平地/Snow-Covered Plains》
《キイェルドーのガーゴイル/Kjeldoran Gargoyle》
《記憶への消失/Vanish into Memory》
《凍える影/Chilling Shade》
《トレッサーホーンの掃き溜め/Tresserhorn Sinks》
通算8枚の氷雪地形。充分だ。
《クロヴの悪漢/Krovikan Scoundrel》
《凍える影/Chilling Shade》
まるで第1ドラフトの再現のような青黒。しかし、そのカードパワーは若干……いや、正直なところかなり不安が残った。自他共に認める「弱いデッキ」と言うが、勝利するプラン立ては見えている。その通りに進めるかどうかは、プレイヤーの腕次第だ。
みんな、忘れてはいない。「弱い」と揶揄して勝ち抜いた、GPセントルイスの中村のパフォーマンスを。
彼ならきっと、その再現を果たして見せてくれるはずだ。
Sunday, Aug. 20: 8:57 p.m. - 準々決勝 : 鈴木 貴大(東京) vs. Julien Nuijten(オランダ)
by Yusuke Yoshikawa
"Do you have a good deck?"
Nuijtenが問う。鈴木がYes、と小さく返すと
"Yabai?"
と続ける。いつ覚えたのか知らないが、面白いキャラクターを見せてくれる。
Julien Nuijten、17歳。鈴木 貴大、18歳。ご存知のとおり、Nuijtenは2004年度世界王者であるし、鈴木もまた、先のPTチャールストンで8位入賞を果たしているし、世界を席巻した「ガジーの輝き」のオリジナルデザイナーである。既に実績を積み重ねつつある彼らだが、カテゴリ分けするなら「これからの存在=Rising Star」の部類に入るだろう。
先ほどのやり取りでも見て取れたのだが、感情が素直に出るタイプのNuijtenに対し、内に秘めるタイプの鈴木という印象である。しかし、その目の力は変わらない。
デッキはNuijtenが緑赤、鈴木が青黒。キャラクターと同じように好対照。次世代を担う彼らの戦いに注目しよう。
Game 1
「Good Luck」ではなく、「ガンバッテ」と始めるNuijtenだが、相変わらず鈴木の表情は変わらない。先手の鈴木は静かにキープだが、Nuijtenは手札を見るなりマリガン宣言代わりのシャッフルを始めた。6枚でのスタートとなる。
初動はNuijtenの《ボリアルのドルイド/Boreal Druid》だが、鈴木はこともなげに《肉体の饗宴/Feast of Flesh》。続く《雄オーロクス/Bull Aurochs》も2枚目の《肉体の饗宴》で退ける。
鈴木は第3ターンに《危険な研究/Perilous Research》。土地を生け贄にするので、これでマナが後退してしまうが、これは織り込み済みだろうか。
Nuijtenの次なる脅威は《オーランのイエティ/Ohran Yeti》。これに対し鈴木は《ゾンビの犬ぞり乗り/Zombie Musher》で対抗。《猿人の喧嘩屋/Simian Brawler》には、《見えざる者の生き残り/Survivor of the Unseen》を出しながら《死の印/Deathmark》でこれを退ける。
場が落ち着いてきたところだが、Nuijtenは《冷眼のロヴィサ/Lovisa Coldeyes》を場に送る。今のところ恩恵を受けるクリーチャーはいないが、不気味な存在ではある。
しかし、《骨に染む凍え/Chill to the Bone》を手にする鈴木はこれよりも《オーランのイエティ/Ohran Yeti》を、と3枚目の《肉体の饗宴》をプレイ。
Nuijtenは経年カウンター2個の《見えざる者の生き残り》へ《うねる炎/Surging Flame》。波及は意味を成さなかったが、《寸法変更/Resize》《猿人の喧嘩屋/Simian Brawler》《雄オーロクス/Bull Aurochs》というあたりが公開された。これは鈴木にとって貴重な情報だろう。
続いて、《ボリアルのケンタウルス/Boreal Centaur》が飛び出してきて攻撃。4/4速攻を受け止めて、鈴木はわずかの傷を負う。
守勢に回った鈴木は守りも《ゾンビの犬ぞり乗り》のみだが、ここはじっくり待ち受ける。次の攻撃で《冷眼のロヴィサ》を《骨に染む凍え》し、攻撃を減速させる。さらなる脅威として《ファイレクシアの雪潰し/Phyrexian Snowcrusher》を追加したNuijtenだが、ここで鈴木の眼が光る。
出したカードは《クロヴの囁き/Krovikan Whispers》。これで《ファイレクシアの雪潰し》を奪うと、最後の手札となる《霜の猛禽/Frost Raptor》をもテーブルに叩きつけるように置き、暗黙に攻守の交代を宣言した。鈴木も、内に秘めた気合は相当なものだ。
鈴木の《ゾンビの犬ぞり乗り》が攻撃に向かった後、ターンが返ってNuijtenは気合を見せてドローするが、これは《ボリアルのドルイド/Boreal Druid》。場に送るのみで終了。
鈴木は慎重に《クロヴの囁き》のコストを払うと、《ファイレクシアの雪潰し》が攻撃に向かう。勝っていたはずのサイズで圧倒されだしては、世界王者もたまらない。
この後も順調にクリーチャーを追加できた鈴木が、まずは1本目をものにした。
鈴木 –1 Nuijten –0
Game 2
Nuijtenの《ボリアルのドルイド/Boreal Druid》を、鈴木が《肉体の饗宴/Feast of Flesh》で除去するという、先ほどと同じ流れ。Nuijtenの第2ターンは2枚目の《ボリアルのドルイド》で、鈴木はこちらも2枚目の《肉体の饗宴》を持っているのだが、これはひとまず放置して、《霧氷殻の死者/Rimebound Dead》を守りに配置する。
動きのないNuijtenだが、《ボリアルのドルイド》の恩恵で先に6マナに到達すると、《オーロクスの獣群/Aurochs Herd》。これでカードカウントを回復しようという考えだが、鈴木は首尾よく《瞬間凍結/Flashfreeze》で対処した。これは大きい。
鈴木が《ゾンビの犬ぞり乗り/Zombie Musher》を続ければ、Nuijtenは《ファイレクシアの雪潰し/Phyrexian Snowcrusher》を追加。…しかし、そこにはまたしてもあのカードが。 そう、《クロヴの囁き/Krovikan Whispers》。
またしても攻守交替といった様相になってしまった。これにはNuijtenも苛立ちを隠せないようで、鈴木が手札を尋ねると、
「Does it matter?(それが何か関係あるの?)」
と凄みまで感じさせる声で返す。悪く言えばすぐ熱くなる悪癖ではあるのだが、勝負への気概が感じられるともいえる。
《猿人の喧嘩屋/Simian Brawler》をプレイして睨むような表情で見つめるNuijtenに対し、鈴木も気圧されるところがほとんどない。奪った《ファイレクシアの雪潰し》と《ゾンビの犬ぞり乗り》で攻撃に向かい、さらには緑赤のNuijtenがもっとも対処しづらいであろう《恐怖症の幻/Phobian Phantasm》を追加して決める構えだ。
Nuijtenは少なくない手札を抱えたまま、ターンを返してくる。これにも鈴木は冷静に累加アップキープ・コストを支払い、攻撃に向かう。
《恐怖症の幻》に《うねる炎/Surging Flame》が1枚、2枚とプレイされるが、これらはどちらも波及せず。《猿人の喧嘩屋》と土地2枚で《ファイレクシアの雪潰し》を相打ちに取り、《クロヴの囁き》が墓地に落ちて鈴木のライフも減らすNuijtenだが、手札というリソースは使い果たしてしまった。
デッキに気合を込めるように叩き、そこで《極北ニショーバ/Arctic Nishoba》を引き当てるNuijtenはやはり世界王者。しかし、それに対し《ゾンビの犬ぞり乗り/Zombie Musher》だけでなく《霧氷殻の死者/Rimebound Dead》すらも向かわせる鈴木。これにはNuijtenも、
「《肉体の饗宴/Feast of Flesh》をもう2枚、持ってる?」
と聞くしかない。それに対し、ほんのわずかに笑みを浮かべて涼しい顔の鈴木。結局、ライフに余裕のないNuijtenは注文どおりにブロックし、そして鈴木は《肉体の饗宴》を2枚持っているのだった。
その返しのターンにも、ドローに有効な一手を見つけられなかったNuijtenは、鈴木が《無残な収穫/Grim Harvest》で《恐怖症の幻》を回収するのを見て、黙ってライブラリをめくり、そして右手を差し出した。
「Rising Star」対決第1幕は、ひとまず鈴木に軍配である。
鈴木 –2 Nuijten -0
Final Results : 鈴木 貴大Wins! 準決勝進出!.
Sunday, Aug. 20: 9:39 p.m. - 準々決勝 : 中村 修平(大阪) vs. 脇坂 祐介(オランダ)
by Daisuke Kawasaki
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見事に初日全勝から決勝ラウンドへと勝ち上がった脇坂(右)と野中(中央)
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もう、随分遠い昔の事のようにも思えるが、初日に「黒船来航」というトピックを取り上げたのを皆様は覚えてらっしゃるだろうか? 過去に類を見ないほどに日本人男性の比率の低かったこのグランプリ、見事トップ8にも3人の外国人プレイヤーが名を連ねる事となった。
日本人が海外のグランプリに遠征し、そのままタイトルを取るのも珍しい出来事でもなくなった昨今。2002年のGP福岡でアレックス・シュヴァルツマンにタイトルをもっていかれて以来護り続けてきた日本のタイトルを、今度は日本人がもっていかれてしまうのだろうか。
さて、そんななかで、唯一の日本人対決となったのが、この卓。といっても、すでに海外での活動も多い中村を純粋に日本勢と捕らえるのもどうか。中村にとって世界は小室の次に狭い。中村の活躍が無国籍的なのは皆様も周知のとおりだ。
一方の脇坂は愛媛の21歳。初日全勝からの見事なトップ8入りを決めた。
ん? 初日全勝?
そういえば、あえて取り上げるようなトピックでもなかったので、取り上げていなかったのだが…中村の初日の順位は64位、そうギリギリで2日目に滑り込んだのである。
Game 1
中村が《霜の猛禽/Frost Raptor》をキャストするところからゲームがスタート。返しのターンで、脇坂が《凍える影/Chilling Shade》を出し激しい空中戦が始まるか…と思いきや、ここで中村の土地がストップ。
脇坂が《ボリアルのケンタウルス/Boreal Centaur》や《ロノムの大男/Ronom Hulk》といった緑の基本クリーチャーたちを紹介している間、中村の手に土地が渡る事は無かった。
ちなみに、途中、レッドゾーンよりに土地を置いていたせいでヘッドジャッジに軽い注意を受けた脇坂に、何となく親近感を覚えてしまったのはなぜだろうか。
脇坂 1-0 中村
Game 2
さて、中村が土地事故で負けたゲームを挟んで、話題を続けると中村の初日成績が64位という事は、中村は2日目全勝縛りだったという事であり、そして、今この席に座っているという事は、2日目に入って一度も負けなかったという事である。
ちなみに、2nd Draftにおける自分のデックを「人生最高のデック」と評していた中村だが、今回のデックのできはどうかとたずねてみた。
中村 「んー、本日最弱ですよ…」
今日の中村のデックは、どちらも前述の通り負け無しのデックである。そんなデックと比較されても今一つピンとこないではないか。
中村 「GPセントルイスの2回目のドラフトデックがかなり弱かったんですけど、それに比べれば、まぁ、マシですね」
いやいや、GPセントルイスの二日目も負けなしだったんだから、それより強いなら十分なのではないか?
おや?
今度は十分な枚数の土地がある初手をキープした中村が、今度は《ファイレクシアの鉄足/Phyrexian Ironfoot》をキャストし、アタックしながら、脇坂の《バルデュヴィアの戦死者/Balduvian Fallen》を《ルーンのほつれ/Rune Snag》でカウンターというちょっとしたクロックパーミッション。
後続に《霜の猛禽/Frost Raptor》を加え、一気にたたみかけようとするが、脇坂もそう簡単にやられるわけにはいかない。《霧氷角のオーロクス/Rimehorn Aurochs》をキャストし、《北方行/Into the North》でマナを伸ばしつつ、《霧氷角のオーロクス/Rimehorn Aurochs》に《霧氷の輸血/Rime Transfusion》をエンチャントし、氷雪パーマネントを4つにしての《雪崩し/Skred》で《ファイレクシアの鉄足/Phyrexian Ironfoot》を除去と、場を一気に優位に持っていく。
しかし、中村が後続として《ロノムの海蛇/Ronom Serpent》を出し、《霧氷の輸血/Rime Transfusion》付きの《霧氷角のオーロクス/Rimehorn Aurochs》が《ロノムの海蛇/Ronom Serpent》と相打てないのを確認してアタックをはじめると、脇坂は土地を片付けた。
脇坂 1-1 中村
Game 3
さて、Game 1があまりの圧殺劇でお互いのデックがわからないので、余談でお茶を濁したが、ここでやっとこさお互いのデックが判明した。
中村が、氷雪パーマネントを中心とした白黒青のコントロール。脇坂が、《北方行/Into the North》で強引に回す、いわば4CGとでも言うべきビートダウンだ。殴るクリーチャーの主力がオーロクスであることを踏まえて、4CA(4 Colored Aurochs)とでも呼ぼうか。
そして、ワンサイドゲームだったGame 1とGame 2にくらべて、最終ゲームに相応しい激戦となった。
まずは、ビートダウンの脇坂の時間。
《クロヴの悪漢/Krovikan Scoundrel》に《霧氷の輸血/Rime Transfusion》と高速にクロックを用意した脇坂は、ブロッカーとして中村が用意した《ファイレクシアの鉄足/Phyrexian Ironfoot》も《寸法変更/Resize》で乗り越えていく。その後も《凍える影/Chilling Shade》を展開したりとビートダウンを続けるのだが、《クロヴの悪漢/Krovikan Scoundrel》に《酷寒の枷/Gelid Shackles》がつけられる頃には、段々と中村の時間にバトンタッチの予感が。
しかし、脇坂も伊達や酔狂で初日全勝したわけではない。2体の《オーロクスの獣群/Aurochs Herd》をはじめ、2枚の《呼び声の鳴動/Sound the Call》などでなんとかプレッシャーをかけ続ける。だが、トークンは《記憶への消失/Vanish into Memory》で相手のハンドアドバンテージ源に変えられてしまい、場には2体の《霧氷風の特務魔道士/Rimewind Taskmage》が並んでしまう。
そして、決定打となる《霧氷風の使い手、ハイダー/Heidar, Rimewind Master》がキャストされると脇坂は「そっちにも入っていたか!」と土地を片付け始めた。
脇坂 1-2 中村
さて、弱い弱いといいつつも、結局勝利した中村、言うほどデックも弱くないと思われる。いや、ドラフト全勝したGPセントルイスのデックより強いのだから当たり前か。何はともあれ、GP広島における中村のコールドスナップ無敗記録は継続したわけだ。
…GPセントルイスでドラフト無敗で、GP広島でドラフト無敗?
津村 「なかしゅーさん、まだグランプリのコールドスナップドラフトで負けたことないですよ」
Sunday, Aug. 20: 9:52 p.m. - 準決勝: Coimbla Andre(ポルトガル) vs. Tabet Basam j(英国)
by Yukio Kozakai
夏休みとは、国によってそれぞれ。人によってもそれぞれである。
海に行くも良し。山に行くも良し。日本ならではのイベントでは、花火やお月見など風流な催しも盛りだくさんだ。この記事が更新される頃には、夜、ないし深夜だろうか。夏休み中のセレブな大人は、枝豆にビールなんかでゆっくりと夜を楽しみながら、Coverageの更新をお待ち頂いてるのかと思う。
特に、長い休みを取れた大人は、旅に出ようなんて思うのが普通だろう。ついうっかりGPと日本選手権に夏休みを合わせて、例えば広島なんて出掛けちゃってライター漬けの夏休みを過ごしちゃう。なーんてスタッフがいるとかいないとかという話も聞こえてきたりする。いったい誰の事だか。
……さて、そんなうっかりさんが、実は準決勝のテーブルにいるのだ。Tabet Basam jという名に聞き覚えのあるプレイヤーは、おそらくいないだろう。それもそのはず、彼はこれまでに主だった実績は無く、純粋にサマーバケーションを楽しみに広島まで来ていたのだ。それが、本人も予想外の展開で勝ち上がって行き、これまた予想外の思い出と勲章が付いてきたのだというから、人生とはわからないものである。
彼のプロフィールを見るに、「Coldsnapのドラフトとか、ワタクシ存じませんわ」と書いてある。本文はもっと直球な表現だったが、ここは筆者の独断と偏見でオブラートに包ませて頂いて、彼自身の素顔に迫ろう。
Tabetはイギリスでバーのマネージャーとして働く、戦う26歳。何と筆者と同い年だ。これはぜひ、上手い酒を飲ませていただいて、とくとくと語り合ってみたいものである。問題は、どういう理由でイギリスまで行くのかという事と、言語の壁。ま、そんなものは"マジック・ザ・ギャザリング"をしていれば大した問題ではないだろう。Coimbla共々、この決勝ラウンドでもう少し、日本での素晴らしい夏休みを過ごして頂こうではないか。
Game 1
Tabetの《砂の殉教者/Martyr of Sands》を《肉体の饗宴/Feast of Flesh》してのゲームスタート。初手に《平地/Plains》2枚しか見つけられなかったハンドをキープしたTabetは、一瞬土地が止まってしまうが、無事に《森/Forest》を引き当てて《雄オーロクス/Bull Aurochs》プレイ。
だが、これにもすぐに《クロヴの腐敗/Krovikan Rot》が飛んでくる。Tabetは《道化の王笏/Jester's Scepter》でCoimblaのライブラリーを攻め、《突風の漂い/Squall Drifter》を出すものの、《キイェルドーのときの声/Kjeldoran War Cry》によるバックアップを得ても《オークの血塗り/Orcish Bloodpainter》《忍び寄るイエティ/Stalking Yeti》で次々と除去されては、ゲームは一方的だ。
後続もすごい。
6マナ、7マナと並べると、《大いなる石の精/Greater Stone Spirit》《疫病の女王、ガルザ・ゾル/Garza Zol, Plague Queen》が一斉攻撃。Tabetは一応抵抗の意思を見せるが、すぐにカードを畳んでシャッフルを始めた。
Coimbla 1-0 Tabet
Game 2
マリガンから、《砂の殉教者/Martyr of Sands》2体でビートダウン(?)し始めるTabet。ならば、殉教者には殉教者と、《灰の殉教者/Martyr of Ashes》で一掃するCoimbla。派手なのか地味なのかはわからないが、とにかく彼らは楽しそうだ。
その後は、両者共に手札が重く、ゲームが再び動いたのはCoimblaが6マナ揃えて《深火の精霊/Deepfire Elemental》をプレイしたところからだ。《酷寒の枷/Gelid Shackles》で耐えては見せるが、氷雪マナが無いTabetは、召喚した《極北ニショーバ/Arctic Nishoba》との殴り合いを展開。
《臆病なグール/Gutless Ghoul》《オークの血塗り/Orcish Bloodpainter》と立て続けに呼び出し、逆転を狙うCoimbla。実は、最初の《砂の殉教者/Martyr of Sands》を除去した際にTabetが得た12点のライフが、この素手喧嘩で大きなアドバンテージとなって表れているのだ。
だが、戦闘で《極北ニショーバ/Arctic Nishoba》を失うと、《疫病の女王、ガルザ・ゾル/Garza Zol, Plague Queen》を空に放ったCoimblaを止める手立ては無く、TabetのGPにおける夏休みは、ここでピリオドとなってしまった。
さあ。素敵な夏のGPも、そろそろクライマックスだ。
Coimbla 2-0 Tabet
Final Result:Coimbla Wins!
Sunday, Aug. 20: 11:06 p.m. - 準決勝 : 中村 修平(大阪) vs. 鈴木 貴大(東京)
by Daisuke Kawasaki
準決勝が外国人勢対決と日本人対決と、きっちり分かれた準決勝。
ということは、この対決で勝利した方が、日本人代表として日本のタイトルを守るべく決勝を戦うこととなる。「日本は世界でもトップレベル」と嘯くのであれば、ここはきっちり国内のタイトルを守っておきたいところである。
ところで、その「日本は世界でもトップレベル」というコピーが生まれるきっかけとなったのが昨年度世界選手権における日本勢の快進撃であったと言うのは、何度も繰り返されてきた周知の事実であると思うし、その快進撃の立役者のうちの1人が、今この席に座っている中村修平である事も周知の事実であるだろう。
ならば、その快進撃を支えた屋台骨である当時の環境のソリューションであったセレズニアデック、ガジーの輝きを構築したのが、中村の前に座る鈴木 貴大であるというのもきっと周知の事実だろう。
今回同じくTop 8入りを果たした野中 健太郎と、二日目で23位と善戦した栗原 伸豪とで組んだチーム「GG Jirou」でPTチャールストンの8位に入るなど最近ではプレイヤーとしても売り出し中の彼が、遂に念願の個人タイトルまであと一歩のところまでやってきた。
思えば、トリックス全盛のエクステンデッド環境のソリューションとしてゾンビプリズンを構築し、荒堀 和明のGP優勝の屋台骨となった浅原 晃の初グランプリ優勝もリミテッドのグランプリであった。リミテッダーがデックビルダーとして優秀かどうかはわからないが、少なくとも一流のデックビルダーは、一流のリミテッダーでもあるというのは定説と言ってもいいのではないか。
世界選手権の日本勢活躍の役者と演出家が、今同じ舞台に立ち、雌雄を決する。
Game 1
デックはほぼ同型と言っていい、青白黒の氷雪コントロールである。
中村のコールドスナップドラフトと言えば、個人的には《うねる歩哨/Surging Sentinels》を中心とした白系決め打ちという印象が強いのだが、中村に言わせると、別にそこにこだわってはいないという。今回の場合、下の志村が緑を中心としたビートダウンを構築するだろうと予想し、逆に流れてくるだろう青系の遅いカードをピックできるだろうと想定し、初手で《ファイレクシアの鉄足/Phyrexian Ironfoot》をピックした時から、青白黒系のデックを構築する予定だったと言う。
さて、鈴木の先手で始まったデュエルのほうへ視線を移そう。
場を見ると、十分な土地をひいている中村VS土地が詰まって苦労している鈴木といった様相である。だが、中村のデックではアドバンテージエンジンとして機能する《占術の岩床/Scrying Sheets》を起動するための冠雪地形と、手札の約半分を占める白スペルをキャストする為の《平地/Plains》がなかったりと、中村は中村なりに苦労をしているようである。
3マナ域で苦労する鈴木に対して、早くも6マナ域まで手を伸ばした中村は《ロノムの海蛇/Ronom Serpent》をキャスト。たいていの海蛇と名づけられたクリーチャーには、昔なつかしの生息条件を模したデメリットがついているものだが、この環境の海蛇のそれはほとんどデメリットとして機能していない。同型対決ならなおさらだ。
鈴木もなんとか4枚目の土地を引き当て、《ゾンビの犬ぞり乗り/Zombie Musher》をキャスト。目下の脅威への回答用意できた。
しかし、中村の攻勢は緩まない。2枚目の《ロノムの海蛇/Ronom Serpent》で盤面を決定的な物にしようと目論む。というか、白マナのない中村には他の選択肢がない。
だが、この2体目の《ロノムの海蛇/Ronom Serpent》が鈴木の《クロヴの囁き/Krovikan Whispers》によって寝返ると、一気に盤面が膠着する。手札に《ルーンのほつれ/Rune Snag》を抱えていた中村は、じっと手を見る。
鈴木は、軽い除去である《肉体の饗宴/Feast of Flesh》、回避能力を持つ《ストロームガルドの十字軍/Stromgald Crusader》や《凍える影/Chilling Shade》でなんとか盤面を自分に有利な物にしようと四苦八苦するが、それも中村が《冠雪の平地/Snow-Covered Plains》を引くまでのことだった。
待望の氷雪マナと白マナを同時に手に入れた中村は、一気に手札を展開し、またも盤面を圧倒的にした。
そして、対照的に土地を手に入れることのできなかった鈴木にはは、《クロヴの囁き/Krovikan Whispers》のアップキープコストを支払いながら展開するだけのマナがなく、《クロヴの囁き/Krovikan Whispers》のダメージと2体の《ロノムの海蛇/Ronom Serpent》のアタックに耐え切れるだけのマナもまた、ないのであった。
中村 1-0 鈴木
Game 2
相手のマナ事故に乗じて圧倒的な勝利を収めた中村であったが、続くGame 2では圧倒的な敗北を味あう。
しかも、鈴木の手の内で踊らされる形で。
中村はコントロール対決はスペルのパワーで勝負が決まると言うセオリーに則って、サイドボーディングで重めだが強力なスペルを増やし、軽いかわりに効果の低いスペルを減らした。
しかし、その一枚上手をいった鈴木のビートダウンにシフトした速攻の前に、「対策カードとして」投入したはずの重いカード達を恨めしげに眺めながら投了させられる事となったのだ。
中村:メインでは勝ってたけど、サイド後にはやられましたわ。
一流のデックビルダーがリミテッダーとしても優秀な理由の一つは、この戦略の広さと綿密な分析力にあるのかもしれない。
中村 1-1 鈴木
Game 3
こうして、見事、中村の裏をかいた鈴木だったが、鈴木が一流のデックビルダーであるのならば、中村は一流のプレイヤーである。ゲームがプレイされるものである以上は、そうそう簡単に負けるわけには行かない。それがプレイヤーという人種の矜持なのだから。なにより、中村の「コールドスナップドラフト無敗」という成績は伊達ではない。それは、確かな練習量に裏づけされた実力の証明なのだから。
鈴木の意図を理解した中村は、鈴木が今度はまた重いカード対決に持ち込んでくるかどうかで悩みつつ、長時間のサイドボーディングを行なう。
運命のデュエル。
やはり鈴木は軽めの展開を捨てなかったようで、1ターン目の《霧氷殻の死者/Rimebound Dead》から3ターン目の《恐怖症の幻/Phobian Phantasm》と軽快なビートダウン。
しかし、相手がビートダウンだとわかっていれば、今度は当然コントロールの独壇場である。
5ターン目に2体同時に《霧氷風の特務魔道士/Rimewind Taskmage》が場に出されると、またも土地がつまり気味の鈴木に今度は《恐怖症の幻/Phobian Phantasm》のアップキープコストが重くのしかかる。
Game 1を見ていた時にも感じた事なのだが、鈴木のデックは中村のデックよりも累加アップキープを持ったカードが多く、それによって、中村よりも盤面で判断しなければいけない事が増えているようである。実際のマナコスト以上に、鈴木のメンタル面へも、じわじわとプレッシャーをかけているようですらあるのだ。
そして、2体の《霧氷風の特務魔道士/Rimewind Taskmage》によって、自分のアタックが通らないのに相手のアタックは自由自在に通る状態を作られてしまう。1体、また1体と中村の攻撃クリーチャーが増えていくと、最後には「3パック目の初手、ラス(《太陽の一掃/Sunscour》)とっとけばよかったー」と言いながら、中村に自分の手札をさらけ出した。
最後の最後の読みあいで、本職の「プレイヤー」である中村が勝利した瞬間だった。
中村 2-1 鈴木
Final Results: 中村 Wins! 決勝進出!
Sunday, Aug. 20: 11:18 p.m. - Byeの話をしよう
by Yukio Kozakai
Round 2の冒頭や初日のBlogで軽く触れたのだが、ここでGPにおけるBye(=不戦勝)についていくつかまとめてみたので、ぜひご一読して頂きたく思う。
まず始めに、Round 2の記事では57名とお伝えした3 Bye持ちのプレイヤー数は、実は58名だった点についてお詫びをした上で、各プレイヤーのスイスラウンド終了時の戦績をお届けしよう。
|
Player Name
|
Day1
|
Day2
|
| Akaike You |
3-3 |
|
| Anzai Yoshio |
4-4 |
|
| Arita Ryuichi |
6-1-1 |
4-2 |
| Asahara Akira |
4-3 |
|
| Aya Naruhiko |
4-4 |
|
| Bandou Junichirou |
5-3 |
|
| Bracht Maximilian |
3-3 |
|
| Canali Pierre |
5-2-1 |
|
| Fujita Osamu |
5-2-1 |
|
| Fujita Tsuyoshi |
6-1-1 |
3-3 |
| Fuma Masaharu |
4-3 |
|
| Hirabayashi Kazuya |
5-2 |
|
| Ikeda Tsuyoshi |
6-1-1 |
1-4 |
| Inanaga Nobuyuki |
6-2 |
1-4 |
| Inoue Masashi(Nara) |
5-1-2 |
|
| Ishida Itaru |
7-1 |
2-4 |
| Ishii Taisuke |
4-3 |
|
| Ishimura Shintarou |
8-0 |
2-3-1 |
| Kaji Tomohiro |
5-3 |
|
| Kashima Akihiro |
4-3-1 |
|
| Kobayashi Masanori |
4-3 |
|
| Komuro Shuu |
5-2-1 |
|
| Kuroda Masashiro |
6-1-1 |
3-3 |
| Matsumoto Masataka |
3-3 |
|
| Matsuzaka Atsushi |
4-4 |
|
| Mihara Makihito |
6-2 |
3-3 |
| Mori Katsuhiro |
7-1 |
4-2 |
| Morita Masahiko |
5-3 |
|
| Mouri Takemasa |
6-1-1 |
4-2 |
| Nagaoka Takayuki |
6-1-1 |
1-4-1 |
| Nakajima Chikara |
3-3 |
|
| Nakamura Shuuhei |
6-2 |
5-0-1 |
| Nakamura Yuichiro |
5-3 |
|
| Nakano Humiki |
6-2 |
2-3 |
| Nonaka Kentarou |
8-0 |
3-2-1 |
| Nose Kouji |
5-3 |
|
| Nuiten Julien P |
7-1 |
5-1 |
| Ogura Ryou |
6-1-1 |
4-2 |
| Oiso Masashi |
6-2 |
4-2 |
| Oosawa Takuya |
6-2 |
3-3 |
| Saito Tomoharu |
7-1 |
2-3-1 |
| Sasagawa Tomohide |
6-1-1 |
2-2-1 |
| Satou Rei |
4-3 |
|
| Shimizu Naoki |
6-2 |
4-2 |
| Shimura Ichiro |
6-1-1 |
5-1 |
| Shiozu Ryouma |
6-1-1 |
3-3 |
| Sugiki Takafumi |
4-3 |
|
| Summersberger Helmut J |
3-3 |
|
| Suzuki Takahiro |
6-1-1 |
6-0 |
| Takasaki Yuuichi |
5-3 |
|
| Tashita Takahumi |
6-1-1 |
1-5 |
| Tsumura Kenji |
6-2 |
3-3 |
| Ueda Shigeki |
4-4 |
|
| Wada Yuuki |
7-1 |
3-3 |
| Wakisaka Yuusuke |
8-0 |
3-3 |
| Yamamoto Shouhei |
5-3 |
|
| Yasooka Shouta |
7-1 |
4-2 |
| Yasuhuku Akihiro |
5-3 |
|
ちなみに、2日目に進出した64名のプレイヤーの獲得Byeも追いかけてみた。
3 Bye 29/64 (45.3%)
2 Bye 6/64 (9.4%)
1 Bye 13/64 (20.3%)
0 Bye 16/64 (25%)
もちろん、絶対数の違いはある。参加者の中で一番多いのはByeを持たないプレイヤーであり、2日目全体の1/4がByeを持たないプレイヤーなのは非常に説得力がある。だが、3Byeを有する58名のプレイヤーのうち半数にあたる29名が2日目に進出している事実は、改めて数値にして表すと強烈だ。
ともあれ、実際のデータを以って証明されている以上、グランプリにおけるByeというのは、2日目進出への特急券。また、上位進出や、プロポイント・賞金獲得への相乗効果として大きな役割を果たしていると、確信を持って言える。しかし、なぜこれほど多くのプレイヤーが、獲得が難しいとされる3 Byeを持ってGPに参加出来たのだろうか。
その答えは、初日全勝の3人がヒントを持っている。
そう、インタビューの中で、彼らは「トライアルでByeを獲得した」と口を揃えている。では、グランプリトライアルとはどんなイベントなのだろうか。
グランプリトライアル。通称GPTは、いまや全国で開催されている、とてもポピュラーなイベントなのだ。優勝者にはトライアルに該当するグランプリでのBye3が与えられるのだが、数年前にはほとんどトライアルは行われておらず、スイスラウンドが終わって決勝トーナメントに残ったら1Bye、準決勝進出で2Bye、決勝進出で3Byeなんて時代もあった。
だが、海外では以前から「優勝者のみに3Byeを与える」という"ALL OR NOTHING"が成立していため、国内でも開催回数を増やして、次第に優勝者のみにByeを与えるシステムへと切り換わって行った。その為、今ではほぼ毎週末、日本のどこかでトライアルが開かれている。詳しくは公式サイトの情報でチェックしてみてはどうだろうか。
積極的にGPTに参戦して、勝ち上がって3Byeを取れたら、胸を張ってグランプリ本戦へ出かけよう。そこには、またいつもと違ったグランプリが待っているはずだ。
さあ、次なる国内グランプリは山形!
Sunday, Aug. 20: 11:30 p.m. - 決勝 : 中村 修平(大阪) vs. Andre Coimbra(ポルトガル)
by Yusuke Yoshikawa
参加総数、417人。うち、Bye 3を得ていたプレイヤー、実に58人。その中で、前評判通りの結果を残したプレイヤーもいれば、はるばる異国の地にやってきてByeなしで激戦を戦い抜き、Top 4入りを果たしたプレイヤーもいた。
そんな精鋭が集まった2006グランプリ広島も、いよいよ大詰め。トリを飾るは、2005年世界選手権Top 8同士の対戦である。
あの時は、もう一息で栄光に届かなかった。しかし舞台を変え、今やGP王者のタイトルが彼らを待っている。
真夏の広島で、極北の王者を名乗るのはどちらか。
Game 1
ダイスロールで決定権を得た中村は、ちょっと考えつつも先攻を選択。その初手に目を落とすと、黒マナ源がないが、始めるには不都合はないと判断。そして首尾よく《冠雪の沼/Snow-Covered Swamp》を引き、第2ターンの《霧氷殻の死者/Rimebound Dead》が初アクションとなった。
続く《霜の猛禽/Frost Raptor》はCoimbraに《クロヴの腐敗/Krovikan Rot》されるが、そのCoimbraの初クリーチャー《テヴェシュ・ザットの信奉者/Disciple of Tevesh Szat》を《骨に染む凍え/Chill to the Bone》して「復活」の機会を阻み、形勢は互角のまま序盤を終える。
中村の《霧氷殻の死者》が静かに殴る中、Coimbraは《大いなる石の精/Greater Stone Spirit》をプレイ。中村は《ルーンのほつれ/Rune Snag》で応じる。Coimbraも続いて《臆病なグール/Gutless Ghoul》を送り出し、盤面は静かな進行。
しかしこれで黙っているCoimbraであるはずもない。顔を出してきたのは環境最強アンコモンと名高い《忍び寄るイエティ/Stalking Yeti》である。ここでは《霧氷殻の死者》を一時的に寝かして《臆病なグール》の攻撃を通すに留まる。
中村は《ゾンビの犬ぞり乗り/Zombie Musher》を追加。Coimbraの《ガルザの暗殺者/Garza's Assassin》には、対象がないうちに《酷寒の枷/Gelid Shackles》で対処してみせる。そして、《ファイレクシアの鉄足/Phyrexian Ironfoot》が戦線に投入され、これが殴り始める。まだ氷雪マナ源はないため、《忍び寄るイエティ》も本領を発揮することはない。
Coimbraは《大いなる石の精》の2枚目を戦線に送るのだが、どうも浮かない顔。それもそのはず、彼の手札には《骨に染む凍え/Chill to the Bone》が3枚。一方、直後に追加された《凍える影/Chilling Shade》を含めて、中村の手勢は「氷雪クリーチャー」ばかり…。
座して待つわけにもいかないので、《大いなる石の精》《忍び寄るイエティ》で攻撃を宣言するCoimbra。対して中村は、残すマナが3マナで氷雪土地が1枚のみなので、《ゾンビの犬ぞり乗り》で《大いなる石の精》をブロックするのみ。《大いなる石の精》の能力が《忍び寄るイエティ》に起動され、全力パンプにより中村に6点のダメージが与えられた。これで双方のライフは、Coimbraが14、中村が9である。
6マナを使える中村は、《ファイレクシアの鉄足》《ゾンビの犬ぞり乗り》《凍える影》で攻撃、ブロックなくパンプもなしで6点のダメージを与える。これでCoimbraのライフは8に。中村は《霧氷風の特務魔道士/Rimewind Taskmage》を追加し、4マナと《霧氷殻の死者/Rimebound Dead》を残してターンを終了した。
続くCoimbraのターンが勝負どころとなった。
《灰の殉教者/Martyr of Ashes》をプレイしたCoimbraは、即これを起動して(もう1枚の《灰の殉教者》を手札から公開する)、《微震/Tremor》効果を放つ。そしてこのサクリファイスにより墓地に《灰の殉教者》が落ち、《臆病なグール/Gutless Ghoul》の餌となっていて墓地に置いてあった《ガルザの暗殺者》の「復活」効果が誘発された。中村は判断を促し、Coimbraのライフは4に半減して《ガルザの暗殺者》は手札へ。
さて、先ほどの《微震》の解決に入るところだが、これで墓地に落ちそうなのは中村の《霧氷殻の死者》のみ。氷雪マナ源も残っている。しかしブロッカーも《霧氷風の特務魔道士》しかないので、《霧氷殻の死者》が再生のためタップすれば《ガルザの暗殺者》に《霧氷風の特務魔道士》が破壊され、《臆病なグール》《忍び寄るイエティ》《大いなる石の精》の総攻撃により中村のライフ9は削りきられてしまう。
では中村に何も手がないかというと、そんなことはない。
《記憶への消失/Vanish into Memory》が、静かに手札に待っていたのだ。 これで攻撃をしのげばライフを残すことができる。だが、もちろんそのためには《霧氷殻の死者》を再生するわけにはいかない。
状況から必然ではあるのだが、中村はしばらく考え、そしてようやく《霧氷殻の死者》を墓地に置いた。4マナは、残したまま。それを見たCoimbraもまた、「何かある」ことを察して、そのままターンを返す。
静かにターンを返したのはいいのだが、問題は先ほどの「復活」コストにより、Coimbraのライフは4に減少していることだ。中村はリスクを考え《凍える影》のみで攻撃、全力パンプはパワー4。Coimbraは《臆病なグール》で何かをライフに変換せざるをえないが、ここは《臆病なグール》それ自身を贄とした。
しかしこれで生き延びる手段は使い果たしてしまった。ターンが返ってきて、静かに考えてはみたものの、Coimbraは次のゲームに進むべくカードを片付けた。
中村 –1 Coimbra –0
Game 2
「You play first」とCoimbra。除去の多いデッキなので、カードアドバンテージを取るべきとの判断での後攻だろう。初動はCoimbraの《灰の殉教者/Martyr of Ashes》だが、中村は《凍える影/Chilling Shade》で応える。
第4ターンの《テヴェシュ・ザットの信奉者/Disciple of Tevesh Szat》に有効な対策を持たなかった中村に、Coimbraは静かに笑みを浮かべながら、《マグマの核/Magmatic Core》をプレイグラウンドへ。これをどうしようもない中村は、苦笑いしてこれを受け入れるしかない。
《テヴェシュ・ザットの信奉者》こそ《酷寒の枷/Gelid Shackles》で黙らせるが、《マグマの核》は色の特性上、どうにもならない。
…そう思われたのだが。
あろうことか、Coimbraが《マグマの核》にカウンターを載せただけでコストを払い忘れてしまったのだ。ギャラリーからジャッジに、そしてCoimbra自身に指摘が行くと、そのときは飲み込めていなかった風のCoimbraだが、事の重大さに気づいて頭を抱えてしまった。
どうにもならないはずのパーマネントが何故か墓地に。俄然勢いを取り戻した中村は、《凍える影》での攻撃を続行していく。
急遽何とかしなければいけなくなったCoimbraは、自らの《テヴェシュ・ザットの信奉者》を《骨に染む凍え/Chill to the Bone》してまで、《無残な収穫/Grim Harvest》で再利用して戦線を立て直そうとする。
だが、このフルタップのタイミングで中村は目ざとく《クロヴの腐敗/Krovikan Rot》を《灰の殉教者/Martyr of Ashes》に打ち込み、《無残な収穫》の「復活」を阻んでおく。このあたりは手馴れた動きである。
中村が《ロノムの海蛇/Ronom Serpent》を出してフルタップになったターンに、《凍える影》を《肉体の饗宴/Feast of Flesh》で始末することはできたのだが、中村はすぐに2枚目を引き当てて場に送ってくる。
Coimbraは苦労して拾った《テヴェシュ・ザットの信奉者》に望みを賭けるが、中村は丁寧に攻撃を続行。氷雪土地が4枚ある中で、3マナずつ使ってCoimbraを追い詰めていく。ミスをした者としなかった者、残酷なまでの差が広がっていく。
そうして追い詰められたCoimbraは、さらにミスを重ねてしまう。3マナ使って4/4になっている《凍える影/Chilling Shade》に対し、《うねる炎/Surging Flame》と《テヴェシュ・ザットの信奉者/Disciple of Tevesh Szat》の通常起動で破壊できると勘違いしてしまったのだ。これでまた差が広がる。
仕方なく《テヴェシュ・ザットの信奉者》を-6/-6で起動して、後手後手ながらに《凍える影》に対処するCoimbraだが、このタイミングならと中村は《クロヴの腐敗/Krovikan Rot》を回収できてしまうあたり、全てが噛み合ってきてしまっている。
中村は慎重に勝負を決めに行く。現状《ロノムの海蛇》は殴れないので、《霧氷風の特務魔道士/Rimewind Taskmage》が1体、2体。少しずつ盤面を支配し、そして送り出すは《キイェルドーのガーゴイル/Kjeldoran Gargoyle》。
慎重は慎重でも臆病にはならず、《大いなる石の精/Greater Stone Spirit》は問題なしと通して勝ちへの最短距離を探す。手札にはカウンター、除去。万全とはまさにこのこと。
ほどなくして、Coimbraは観念して右手を差し出した。
中村 –2 Coimbra -0
先のGPセントルイスに続き、ここ広島でも優勝カップを手にした中村。驚くべきことに、コールドスナップのブースタードラフトで行われるグランプリにおいて、無敗の男がここにいる。
確かに、決勝はミスが勝敗を分けたのは否めない。しかしそうして得たチャンスを勝利につなげることができるのもまた、実力なのではないだろうか。
そういえば、"世界を旅するPoY"津村 健志がこんなことを言っていたのを思い出す。
「グランプリに出て試合するのが、一番練習になるんですよ」
その考えで言えば、これまでにコールドスナップのドラフトを一番練習していたのは、中村 修平その人であった、ということなのだ。
プレイヤープロフィールでも述べているが、彼は人気薄の色である青を狙ってドラフトし、実際に第1ドラフト・決勝ではその力で栄冠を掴んでいる。しかしその一方で、第2ドラフトのデッキはまさに「うねる」と強力カードの王道であり、人気薄ばかりがドラフトでもないことも示している。
つまり、彼から学ぶ、この環境の答えはこうだ。 何でもあり、と。
カードプールが限られたドラフトだからこそ、様々な戦略がとりうるということで、時には王道、時には奇策と、いろいろやって楽しめるし、そうして勝つこともできるのだ。 有限の組み合わせに無限の可能性。マジックの醍醐味は、きっとそこにある。
さあ、来週はいよいよ日本選手権。強豪たちが織り成す世界をプレイして、あるいは観戦して楽しもう。
Shuhei Nakamura defeats Andre Coimbra.
Congraturations ! to the Grand Prix Hiroshima Champion, Shuhei "Snow Master" Nakamura!
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