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準決勝: Mark Ziegner vs. Dave Humpherys

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「1 Duel にかかった時間の長さ」でプロツアー記録を更新することになった事実上の決勝戦
何故かプロツアータイトルには縁遠い YMG の Humpherys。得意の《サイカトグ/Psychatog》を相棒に、なんとかここで悲願のタイトルをとりたいところだった。

 対する Ziegner、超のつく激戦区であるドイツ選手権で準優勝をおさめた剛の者であり、この個人戦準決勝のあとにチーム戦決勝を控えている身である。そう、2 年前に Jon Finkel が成し遂げて以来となる「二冠王」を狙えるポジションまで勝ちあがってきているのだ。

Game 1

 先攻の Ziegner が序盤から動きを見せる。2 体の《夜景学院の使い魔/Nightscape Familiar》を展開し、《綿密な分析/Deep Analysis》をキャスト。Humpherys は《チェイナーの布告/Chainer's Edict》で応じる。

 アクションを起こすのが Ziegner 、それを捌く Humpherys という基本的な構図は変わらず、Ziegner はフラッシュバックでの《綿密な分析/Deep Analysis》から、サモン《サイカトグ/Psychatog》。Humpherys の展開した《夜景学院の使い魔/Nightscape Familiar》にも《記憶の欠落/Memory Lapse》で応じた。

 ミラーマッチにおける《記憶の欠落/Memory Lapse》の存在意義、それは純粋なカウンター合戦において《対抗呪文/Counterspell》と同等の働きをみせるということだけでなく、相手のネクストドローをよどませるということによるテンポ・アドバンテージにもあるわけである。
...もっとも、劣勢においやられた際には単なる「時間稼ぎ」にしかならないことも多いスペルではあるが、3 色という構成をとっている Ziegner にはキャスティングコスト的にも理にかなった一枚といえるだろう。

 Ziegner はさらに《燃え立つ願い/Burning Wish》によって、先ほどフラッシュバックでプレイした《綿密な分析/Deep Analysis》をハンドに獲得。その《分析》によってデッキを掘り進んだ。

 一方の Humpherys は《狡猾な願い/Cunning Wish》をプレイ。《排撃/Repulse》を獲得して《サイカトグ/Psychatog》をバウンスしつつキャントリップしたのだった。すると、攻勢を維持したい Ziegner もまた《排撃/Repulse》によって《夜景学院の使い魔/Nightscape Familiar》をハンドへと送り返す。

さらに、Ziegner は 2 体の《サイカトグ/Psychatog》を場に展開し、それに対して Humpherys も《夜景学院の使い魔/Nightscape Familiar》から《サイカトグ/Psychatog》召喚。しかし、ここで戦線を構築にかかったことで、Humpherys のマナが残り1 マナだけとなってしまう。

この《サイカトグ/Psychatog》に Ziegner はまたも《排撃/Repulse》。この時点でのライフは 13 点ずつとタイだが、Ziegner の《サイカトグ/Psychatog》が《嘘か真か/Fact or Fiction》経由で墓地を食べてしまうとちょうど削られてしまう値でもあった。
Humpherys はたまらずこの《排撃/Repulse》をマッドネスでの《堂々巡り/Circular Logic》によってカウンターしようとしたわけだったが...

Ziegner「スタックで《嘘か真か/Fact or Fiction》」

 その《嘘か真か/Fact or Fiction》の 5 枚の中にご丁寧にも《堂々巡り/Circular Logic》が含まれていたり。
 
 かくて、Humpherys の《サイカトグ/Psychatog》はバウンスされてしまい、次の Mark Ziegner の総攻撃を食い止めることはできなくなてしまったのだった。

Mark Ziegner leads 1-0

Game 2

MITでの博士課程を修了し、現在世界一周記念旅行中の Humpherys 博士
 後手 Ziegner の《強迫/Duress》がファーストアクション。
《方向転換/Divert》、《サイカトグ/Psychatog》、《対抗呪文/Counterspell》、《狡猾な願い/Cunning Wish》にランド 2 枚というハンドがレッドゾーンに晒された。

 双方メモをとりながら、ここで時の流れがしばし止まってしまう。長考といったら Humpherys の十八番であるわけなのだが、どうして Ziegner もなかなかのものである。 結局、3 分ほど静寂の後に《方向転換/Divert》がディスカードされた。

 そして、Ziegner は続くターンにも《強迫/Duress》。Humperys が新たに手札にかかえていた 2 枚目の《狡猾な願い/Cunning Wish》をメモに追加し、《対抗呪文/Counterspell》を捨てさせたのだった。

 アクションをひたすら起こし続けるのは Ziegner。《燃え立つ願い/Burning Wish》で《綿密な分析/Deep Analysis》を調達する。すると、ここで Humpherys が《狡猾な願い/Cunning Wish》から《嘘か真か/Fact or Fiction》を入手した。お互いにドロー加速スペルをいかに通し、いかに阻むかが注目されるところだろう。

 そして、この局面でも動きをみせたのはやはり Ziegner からだった。エンドステップに《嘘か真か/Fact or Fiction》。これをHumpherys が《堂々巡り/Circular Logic》する。しかし、続くメインステップで《綿密な分析/Deep Analysis》をキャストせずにドロー・ゴーでターンを終えた Ziegner。Humpherys は微笑をうかべながら《夜景学院の使い魔/Nightscape Familiar》を召喚してターンを終える。

 つづくターンに Ziegner は《反論/Gainsay》を引き当てたことで《綿密な分析/Deep Analysis》をプレイ。案の定、《分析》にスタックして Humpherys がプレイしてきた《嘘か真か/Fact or Fiction》を見事にカウンターしてみせた。しかし、さらにHumpherys はここで 2 枚目の《嘘か真か/Fact or Fiction》をプレイ。この《嘘か真か/Fact or Fiction》を《選択/Opt》と《綿密な分析/Deep Analysis》というスペル 2 枚の山と土地 3 枚にわけた Ziegner だったのだが、Humphers がその解決に要した時間がおよそ 5 分。いよいよ長考が冴え渡りはじめて...ヘッドジャッジの Jackson もゲンナリ。ちなみに、ここで Humpherys が入手したのは土地 3 枚のほう。

 とうとう Humpherys が動く。
《サイカトグ/Psychatog》をプレイし、《嘘か真か/Fact or Fiction》で墓地に落ちた《綿密な分析/Deep Analysis》をフラッシュバックしてターンを終えた。そして、《サイカトグ/Psychatog》がアタックを開始する。さりげなくパンプアップした《サイカトグ》が食べた墓地...それが《嘘か真か/Fact or Fiction》と《堂々巡り/Circular Logic》だったことに注目しておきたい。そう、《狡猾な願い/Cunning Wish》のためにワザと強力なインスタントをゲームから取り除いておくのもこのタイプのデッキでは基本的な行動である。

Ziegnerもこの《サイカトグ》を《排撃/Repulse》し、フラッシュバック《綿密な分析/Deep Analysis》でハンドを補充する。しかし、そのエンドステップに Humpherys は《狡猾な願い/Cunning Wish》。これを Ziegner は《記憶の欠落/Memory Lapse》した。Humpherys はさらに《サイカトグ/Psychatog》を出しなおすが...これも即《排撃/Repulse》。Humpherys は一連の攻防の後に、《狡猾な願い/Cunning Wish》から《嘘か真か/Fact or Fiction》を回収。
 
 そして、Ziegner がここで大きく勝負に出た。

Mark Ziegner "...Lobotomy to you..." 

 そう《ロボトミー/Lobotomy》だ。

この手荒い前頭葉除去手術によって、 Humpherys の勝ち手段...つまりは《サイカトグ/Psychatog》をすべてゲームから取り除いてしまおうというわけである。当然、ここでは熾烈なカウンター合戦が行われることになったわけだが...。スタックして Humpherys がプレイした《嘘か真か/Fact or Fiction》には有効牌なし。そう、通ってしまったのだ。

この《ロボトミー/Lobotomy》を見事に通した Mark Ziegner、次なる一手はハンドの《サイカトグ/Psychatog》を召喚することではなく、《燃え立つ願い/Burning Wish》をプレイすることだった。サイドボードから何かを調達するわけではなく、《綿密な分析/Deep Analysis》の回収を行った。

しかし、Dave Humpherys はニヤリと笑いながら《仕組まれた疫病/Engineered Plague》を 2 枚展開。ともに指定した種族は《エイトグ/Atog》。そう、《サイカトグ/Psychatog》によってこの試合の決着はつかないこととなった。お互いがライブラリーの残り枚数を数え始め...周囲はかなりゲンナリ。...と言うか、団体戦決勝⇒個人戦決勝という風に残されたスケジュールを考えると...ちょっと危ない感じなのでは?

なんとなく筆者がそんな愚にもつかないことを考えていたりするところに、 Tournament Manager である Jeff Donais が降臨。

「...ちょっと遅すぎるよ」

もちろん、Humpherys はそんなことにはまったく動じないのだが。

ともあれ、どうやらお互いに《綿密な分析/Deep Analysis》をからめたライブラリーアウト狙いということになったようだ。お互いに「対戦相手を対象にとった」《綿密な分析/Deep Analysis》と長考合戦が飛び交いはじめる。もちろん、基本行動としてはおたがいに「ドロー・ディスカード・ゴー」が繰り返されるだけなのだが、それがまたいちいち長い。Humpherys は《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》を起動してそれに追いすがる。

かかっている栄誉と賞金額を考えれば万全を期したいのは十分に理解できるが、それにしても冗長だ。やはり、ネタがすっかりつきてしまったコメンテーターも困り果てているようだ。

こうなると、Ryan Fuller 戦で Dave Humpherys が歴史的長時間にわたる《サイカトグ/Psychatog》ミラーマッチを行っているという事実を思い出さずにはいられない。

傍目には、《綿密な分析/Deep Analysis》を回収できる《願い/Wish》である《燃え立つ願い/Burning Wish》が投入されている Mark Ziegner の方に軍配があがりそうな展開であった。しかし、《枯渇/Mana Short》で Ziener をタップアウトさせた、最後の大仕掛け。

自分の《チェイナーの布告/Chainer's Edict》を《記憶の欠落/Memory Lapse》し...、《激動/Upheaval》!! Ziegner が自身のスペルを《記憶の欠落/Memory Lapse》することでライブラリーの枚数を操作することと、さらなる《綿密な分析/Deep Analysis》を打たれてしまうことを実質的に禁止したわけだ。

はてさて、この段階(Humpherys 博士のメインステップ)でのお互いのライブラリーの枚数は...というと、

博士:4
Mark Ziegner:7

《激動/Upheaval》後のたちあがり、Ziegner はとりあえず《強迫/Duress》。
Humpherys のハンドをのぞいてみると、スペルは《チェイナーの布告/Chainer's Edict》と《堂々巡り/Circular Logic》だけ。とりあえず《堂々巡り/Circular Logic》を墓地へ。

 Ziegner、残りライブラリー 2 (Humpherys)vs. 4(Ziegner) という段階で《サイカトグ/Psychatog》を召喚。墓地の厚さがそれこそ 3cm くらいある状態でのこのクリーチャーはまさしく一撃必殺の存在となるわけだが、もちろんこれは《チェイナーの布告/Chainer's Edict》であっさりオダブツ。

 次なる Ziegner のアクション、それは《強迫/Duress》をプレイし、それを自ら《記憶の欠落/Memory Lapse》することだった。これは《対抗呪文/Counterspell》されてしまうが、Humpherys 博士はとうとうライブラリーの最後一枚に手をかけることとなってしまう。

 博士:0
Ziegner:3

しかし、Humpherys はここで...

セット《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》!!
これをZiegner のドローステップに起動...

というわけで、Dr. Humph がライブラリーアウトでの逆転勝利。
《ロボトミー/Lobotomy》の決まった瞬間に勝敗が決したようにさえ思われたものだったが、そこからが「マジック界最高の頭脳」の見せ場だったといえよう。

しかし、この Game 2 までの所要時間が...110分。
おそらく、1 試合にかかった時間としてはツアー史上最長のものといえるだろう。

Dave Humpherys 1-1 Mark Ziegner

Game 3

ドイツ選手権準優勝、個人戦・団体戦の二冠をも視野に闘う Mark Ziegner
 《狡猾な願い/Cunning Wish》から《嘘か真か/Fact or Fiction》調達、とHumpherys が順調なたちあがり。Ziegner も《燃え立つ願い/Burning Wish》で《綿密な分析/Deep Analysis》を入手しようとしたが、David Humpherys はこれを《記憶の欠落/Memory Lapse》。
 
 ここで Humpherys 博士が《記憶の欠落/Memory Lapse》を打ちたかったのには理由があって、それは土地の展開枚数が 3 枚でとまってしまっていたためである。このスペルによって Humpherys の事故が解消するというわけではないのだが、Ziegner のドローが一瞬とまるということは間違いない。

 しかしながら、Humpherys の事故は深刻なものとなってしまい、Ziegner が 7 マナ展開するにいたって、ようやく 4 マナ目の土地に巡りあえるという有様であった。そして、苦悶する Humpherys に...

Ziegner "...Lobotomy to you...again..."

 今度は《サイカトグ/Psychatog》を根こそぎにすることはかなわなかったものの、手札にあった 3 枚を含めた《嘘か真か/Fact or Fiction》をすべてリムーブしてみせたのだった。

 そして、満を持して Ziegner は《サイカトグ/Psychatog》を召喚。Humpherys も《サイカトグ/Psychatog》で応戦してくるものの、ハンドの内容とマナベースの格差は否めない。

 Ziegnerの《排撃/Repulse》がブロッカーをなぎ払うと...Humpherys 博士の致死量ピッタリの手札と墓地とがそこには控えていたのだった。

 ともあれ、わずか 10 分足らずの一戦ということなる。

Mark Ziegner 2-1

Game 4

 Humpherys が意外なほど早仕掛け。
3ターン目に《サイカトグ/Psychatog》を召喚する。Ziegner はこれを《記憶の欠落/Memory Lapse》。続く 4 ターン目の再キャストでこれを成就させた Humpherys だったが、皮肉にも 4 枚目のランドは置けなかった。ここでZiegner は《強迫/Duress》をうちこみ、《狡猾な願い/Cunning Wish》1 枚に《激動/Upheaval》と《チェイナーの布告/Chainer's Edict》が2 枚ずつというハンドから《狡猾な願い/Cunning Wish》をディスカードさせている。

Ziegner は《嘘か真か/Fact or Fiction》を2 発プレイし、着実にマナとハンドを充実させていく。依然として 4 マナ目がこない Humpherys は苦し紛れに《夜景学院の使い魔/Nightscape Familiar》を展開するが、これは《火/Fire》で除去されてしまう。せめて Ziegner の《サイカトグ/Psychatog》を《チェイナーの布告/Chainer's Edict》してアタックし続けたいところだったが、その《布告》もマッドネスでの《堂々巡り/Circular Logic》で阻まれてしまう。

...というか、3 枚しか展開できなかったマナベースに《セファリッドの円形競技場/Cephalid Coliseum》を含んでいた Humpherys のライフはかなり削られていたため、Ziegner の一撃で即死してしまう恐れさえある。

ここで 3 発目の《嘘か真か/Fact or Fiction》に恵まれた Ziegner は...見事に《排撃/Repulse》を入手。ここでHumpherys の《サイカトグ/Psychatog》をどかしてアタックし、手札と墓地をすべて怪物の能力に注ぎ込んだのだった。...明らかに、《サイカトグ/Psychatog》のパワーは 20 を超える。

握手に応じた Humpherys。
たしかに、あの熱戦を思うとむなしい結末かもしれないが...、誰もが彼の見せた粘り腰と大逆転劇とを忘れないだろう。

 割れんばかりの拍手が場内を包んだ。

Final Results:Mark Ziegner wins 3-1 against Dave Humpherys

2002 Worlds (Type 2): RUB Psychatog
Mark Ziegner

2002 Worlds (Type 2): UB Psychatog
Dave Humpherys

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