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決勝: Kai Budde vs. Nicorai Herzog

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 黒赤。誰もが欲する除去色二つを組み合わせた、禁断の果実とでも呼ぶべきアーキタイプだ。全てのピックが全員の監視の元に行われるロチェスタードラフトでは、強力だが協力を得られない諸刃の剣。だが、Kai は難なくこの武器を使いこなし、William Jensen を、Jon Finkel を一刀両断の元に切り捨て決勝まで進出した。

 Elves! デッキのどこを切ってもエルフ・エルフ・エルフ。準々決勝の相手が攻撃軽減天使ドラゴンデッキという意味不明な異能デッキであったがために、通常とは異なる偏ったアプローチを要求されてしまったのが Nicorai だ。

 数を増し、時間と共に強さを増す Nicorai のエルフデッキ。
 ありとあらゆる手段でライフを奪う Kai の黒赤デッキ。

 いよいよ決着の時。

Game 1

 マリガンした Kai だが、二回目の手札は三枚目の土地さえ引ければというなかなかのもの。

 Nicorai は《エルフの戦士/Elvish Warrior》からという抜群のスタート。だがきっちり土地を引き当てた Kai も《思考繋ぎのプライモック/Thoughtbound Primoc》でこれに応える。戦士が攻撃し、プライモックが受ける。何事も無く戦闘は終了。Nicorai は二体目の戦士を召還する。

 だが、Kai も《腐れ肺の再生術師/Rotlung Reanimator》から《陰謀団の執政官/Cabal Archon》へと繋ぐ抜群の展開。

 一方、《共生するエルフ/Symbiotic Elf》を召還したものの、後続に恵まれない Nicorai は《クローサの大牙獣/Krosan Tusker》をサイクリングで使用する。

 その間にも《思考繋ぎのプライモック/Thoughtbound Primoc》の猛攻が続き、Nicorai のライフは 8 まで減る。そして、この後に現れた後続が戦況を急展開させる。

 Kai の《腐敗を導く者/Shepherd of Rot》、Nicorai の《幸運を祈る者/Wellwisher》。

 整理しよう。二人のライフは、Kai が 14、Nicorai が 8。Kai には二点の航空戦力と一点の腐敗効果がある。一方、現在の時点で Nicorai にあるのは三点の回復効果。このままならいけば、なんとか現状を維持できる数。

 ならば減らそうホトトギス。 Kai は《腐敗を導く者/Shepherd of Rot》を残してフルアタックを行う。悩んだ Nicorai が選んだブロックアサインは

 《腐れ肺の再生術師/Rotlung Reanimator》 ← 《エルフの戦士/Elvish Warrior》
 変異 ← 《エルフの戦士/Elvish Warrior》
 プライモック → 本体

 ここで変異が正体を明かす。4/3 の《突進する石背獣/Charging Slateback》だ。だが、Nicoraiも《部族の団結/Tribal Unity》を使用しなんとか相打ちを。《腐れ肺の再生術師/Rotlung Reanimator》が墓地へ落ち、Kai の元にトークンが産まれる。

 Kai にはここで《腐れ肺の再生術師/Rotlung Reanimator》の死亡前に《腐敗を導く者/Shepherd of Rot》を起動する手も存在したが、Kai は自体の進展を見守る。

 ここでようやく Nicorai に援軍が。《終末の大砲/Doom Cannon》。勿論、指定する種族名はエルフ。ただし、このキャストにより残ったマナは僅か緑マナ一つのみ。確認した Kai は変異と 2/2 ゾンビトークンを戦いのレッドゾーンに。

 一見、チャンプに見えた《幸運を祈る者/Wellwisher》のブロックだが、これに《ワイアウッドの誇り/Wirewood Pride》が使われる。戦況が微妙に。

 しばしの間、プライモックの空襲と《幸運を祈る者/Wellwisher》がライフの奇妙な平衡状態を作り上げる。増えては減り、減っては増える。一見 Kai が押しているように見えるが、大砲の存在を考えればまだまだ余談は許さない。

 両者が共に引き当てる。

 Kai は《ナントゥーコの鞘虫/Nantuko Husk》を。Nicorai は《ワイアウッドの伝令/Wirewood Herald》を。

 鞘虫は、Kai の《腐敗を導く者/Shepherd of Rot》に更なる力を与え、《ワイアウッドの伝令/Wirewood Herald》は大砲との組み合わせで更なるエルフを Nicorai にもたらす。

 終わりは近い。

 鞘虫の攻撃を防御した伝令は、そのまま大砲で打ち上げられプライモックを撃墜する。伝令が呼びかけた相手は...《エルフの騎手/Elven Riders》。一度殴り、砲声が轟けば世界は...

 意を決した Kai はエンドに《腐敗を導く者/Shepherd of Rot》を起動する。次のターンがどのみち最後のターンになるからだ。

 最後の一枚を引き、机をこすりながら視界に入れる。

 《焼けつく肉体/Searing Flesh》

Kai 1 - Nicorai 0

Game 2

 勝負は時に残酷だ。

 《ただれたゴブリン/Festering Goblin》からの《火花鍛冶/Sparksmith》。

 実質的にこのゲームは僅か二ターンで終了してしまった。Nicorai も強弱アクセントをつけ必死に解決索を模索するが、二匹が巻き起こす魔の業火が次々と優しきエルフ達を森から追放していく。

 更には、Nicorai が次々と引き続ける森、森、森。

Kai 2 - Nicorai 0

Game 3

 もはや負けが許されない Nicorai。なんとかまずは一矢を。
 だが、主導権を握ったのはまたもや Kai。《ただれたゴブリン/Festering Goblin》からの開始だ。

 Nicorai も《ワイアウッドの伝令/Wirewood Herald》、《常籠手の急使/Everglove Courier》と展開するが Kai は止まらない。《切り刻まれた軍勢/Severed Legion》、《ゴブリンの監督官/Goblin Taskmaster》、《腐れ肺の再生術師/Rotlung Reanimator》、《堕ちたる僧侶/Fallen Cleric》と並べ続ける。

 Nicorai も《疑い深い濃霧獣/Leery Fogbeast》を出すものの、正直なんとか防衛できているだけというレベル。この間も《切り刻まれた軍勢/Severed Legion》の攻撃は止まらずライフは刻一刻と減り続ける。

 詰め将棋。

 Kai は、それまで通していた《ワイアウッドの伝令/Wirewood Herald》の攻撃を《ただれたゴブリン/Festering Goblin》で受けると、死亡時のエフェクトを伝令に使用する。伝令によって《幸運を祈る者/Wellwisher》を入手した Nicorai だが、《常籠手の急使/Everglove Courier》を見捨てるわけにもいかず、能力起動のために召還のマナが残っていない。

 相手のマナを縛った上で、Kai は全軍勢で一気に進行をかける。《腐れ肺の再生術師/Rotlung Reanimator》こそ《疑い深い濃霧獣/Leery Fogbeast》と相打つものの、深いダメージが Nicorai に叩き込まれる。

 そして、そのライフを取り戻すべく《幸運を祈る者/Wellwisher》と更なるエルフを召還するが、既に勝負は決していた。Kai の頭に描かれた予定は、そのまま現実となる。

 《戦慄の葬送歌/Dirge of Dread》

 やるせない思いを胸に、Nicorai の夢は費えた。皇帝復活の狼煙と共に。

Kai 3 - Nicorai 0

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